ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が、首位楽天を相手にカード勝ち越しを決める決勝弾を放った。初回2死で左中間テラス席への弾丸ライナー8号ソロ。6戦5発の活躍で首位たたきをけん引した。チームは今季初の3連勝で、6月25日以来の勝率5割に復帰した。

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球場で目の当たりにしたファンも目を疑っただろう。すさまじい速さの打球だった。初回2死。柳田はいつものように厳しいインコース攻めにあった。楽天石橋から、まともに打てそうな甘い球は来ないままフルカウントとなった。そして6球目、また低めいっぱいの直球が投げ込まれた。柳田の長い腕が伸びる。火の出るようなライナーはそのまま伸びていき、左中間テラス席へ吸い込まれた。

ベンチで見つめた工藤監督も「まさか。すばらしいパワーです」と目を見開いた。柳田は弾むようにダイヤモンドを駆け抜ける。「1打席目から集中できたし、丁寧に打つことができました」。先制の8号ソロはカード勝ち越しを決める決勝弾になった。

首位楽天を迎えた6連戦で5本塁打と量産したが「たまたまです。しっかりいいスイングをすること。それ以外は考えていないです」とクール。今季ここまで21戦8発。リーグトップの楽天浅村に1本差と迫ったが「いやいや。シーズンは長いので。けがなくチームに貢献できるようにやっていきたい。それだけです」と一喜一憂することはない。

柳田は開幕前から「早くファンの方に来られるようになってほしい」と願っていた。チームは有観客となった10日から、今季初の3連勝。柳田も3戦で9打数5安打2本塁打と絶好調だ。「お客さんに入ってもらって、ファンの方の思いというか、そういうのがチームの力になっている感じがします。雰囲気が違うな、とは感じます。これからこの勢いで、チーム一丸となって頑張っていきたい」とパワーを感じている。

チームは6月25日以来となる勝率5割に復帰。14日からはオリックス戦で敵地大阪へ向かう。柳田にとっては昨季打率4割5分5厘、18年は同4割4分7厘、さらに今年6月の練習試合でも本塁打している水の合う舞台だ。上昇してきたチームとともに、さらなる量産態勢に入る。【山本大地】