デビュー戦を派手に決めた。中日のドラフト1位、石川昂弥内野手(19)が12日の広島戦で1軍昇格し、「7番三塁」で即スタメン出場。スタンドから父尋貴さんが見守る初打席で、左翼線への二塁打を放った。フル出場し4打数1安打。「誰にも負けたくない」と誓うルーキーは、12球団高卒新人最速で1軍の舞台に立った。

.チームは2連敗で3カード連続の負け越しと苦しむ中で、力強く第1歩を刻んだ。

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体勢を崩しながらも石川昂のバットはボールをしっかりと捉えた。打球は左翼線ギリギリで弾んだ。プロ入り初打席初安打。広島遠藤の131キロチェンジアップをさばいて二塁打を決めた。「7番三塁」で昇格即スタメン。フル出場で、12球団高卒ルーキー最速デビューの足跡を刻んだ。

負けず嫌いの言葉が口をついた。「(初安打は)しっかりためて、うまく拾うことができました。何でも負けたくないのでよかった。このチャンスを生かしたい。(高卒新人最速デビューも)一番最初というのを見ていたのでよかったです」。18年ドラフト1位の2年目根尾より先に、1軍初安打を決めた。同じドラ1で同学年のロッテ佐々木朗、ヤクルト奥川より先に、ひのき舞台を経験したことを素直に喜んだ。

デビュー戦に持ち込んだのは、グリップが白でヘッドが黒の880グラム、33・5インチのバット。昨年のU18日本代表時に使用したものと同モデルだ。プロ入りしてから、広島鈴木誠やソフトバンク内川モデルを試行錯誤。しかし「初心に戻りたい」と、メーカー担当者に依頼して原点回帰した。手元に届いた7月2日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(ナゴヤ)での公式戦初アーチも、この相棒で放っていた。

巡ってきたチャンスで結果を出した。11日の広島戦で正三塁手高橋が左太もも裏を負傷。その夜に急きょ1軍合流が決まった。与田監督は昇格理由を「守備位置も考えた。2軍で4番を打っている長打力も期待した」と説明。この日の一打には「うまい打ち方ができていた。守備面でも非常に落ち着いていた。今後が楽しみ」と合格点を与えた。

初安打の後の3打席は全て三振。1軍投手の直球に差し込まれた。「もっと前の方でさばかないと、直球も後ろへのファウルになる。練習でもっともっと前で打てるように意識してやりたい」。打点、そして初アーチは今後の宿題。19歳の主砲候補は、初安打の余韻に浸ることなく、さらに先を見据えた。【伊東大介】

◆石川昂弥(いしかわ・たかや)2001年(平13)6月22日生まれ、愛知県出身。東邦では1年春からベンチ入り。3年春に、平成最後の甲子園優勝を達成。高校通算55本塁打。投手としても最速144キロを記録した身体能力を誇る。185センチ、93キロ。右投げ右打ち。