2代目若大将が、初代若大将に記念の勝利を届けた。1点を先制した直後の3回、4番岡本和真内野手(24)が左翼ポール際にリーグ2位タイとなる6号3ランを運び、原辰徳監督(61)に監督通算1035勝目をプレゼント。原監督は長嶋茂雄終身名誉監督(84)を抜き、巨人史上単独2位の勝利数に到達した。同1位の川上哲治氏の1066勝まであと31勝。チームは連敗を4で止め、再び首位に返り咲いた。

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ベンチでは「初代若大将」の両拳が待っていた。岡本は3回1死二、三塁、体勢を崩されながらも低めのチェンジアップをすくい上げ風に乗せた。ファウルに切れそうだった打球は、左翼ポールを巻くようにスタンドイン。ダイヤモンドを1周すると笑顔で出迎えた原監督とエア・グータッチをかわした。指揮官の節目の1035勝目を大きく引き寄せる1発。「4連敗していたんでそれを止められて、勝てて良かった」と喜んだ。

今春キャンプ中に「2代目若大将」を襲名したが、謙虚な姿勢は変わらない。キャンプ終盤には「若大将」の呼び名について「本当にありがたい言葉ですけど。僕はあくまで2代目ですから。恐れ多いというか全然違いますよ!」と謙遜していた。謙虚な姿勢が引き寄せたのか、この日の本塁打は「神風みたいな形で吹いてくれた」と原監督が表現する風に守られるように、スタンドに届いた。

先代の心配も杞憂(きゆう)に終わった。原監督は「2代目」に指名直後、呼び名の浸透具合を気にしていた。「僕はいつも『若大将』と言っている。それがみんなに伝わっていない」と話していた。だが、岡本は今季ここまで19試合で18通りの打線を組んでも、唯一4番に座り続け、開幕ダッシュに貢献。「若大将」もすっかり定着した。

節目の勝利を引き寄せ恩返しを果たし、2日ぶりに首位に返り咲いた。「ずっと負け越している(広島)相手。1試合1試合頑張りたい」と岡本。恩返しは、これだけでは済まさない。【久永壮真】