阪神植田海内野手(24)が、虎の天敵メルセデスの降板につながる貴重な一打を放った。1点リードで迎えた4回1死二、三塁で右中間へ2点二塁打。今季初打点を刻んだフルカウントからの一打を「追い込まれていたので何とか食らいつこうと思って、打ちにいきました」と振り返った。

植田の2点打の後、2死となり、1番陽川を迎えたところで巨人ベンチは投手交代を決断。阪神はメルセデスとは通算8度目の対戦だったが、3回2/3は最短での降板。阪神戦で通算4勝を献上している虎ハンターを追い込む値千金のものとなった。

糸原が右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折で離脱しており、植田にかかる期待も大きい。矢野監督が「健斗(糸原)がゆっくり休んでられない状況を作ってくれたら、チームとしてもワンランク上がる」と語れば、9戦連続スタメンの本人も「今、チャンスだと思うので、なんとか最後まで試合に出られるように頑張りたい」と気合を入れ直した。

もちろん、メルセデス攻略は、植田の一打につながる足攻めも大きかった。4回は1死から梅野が四球で出塁。梅野は次打者、7番木浪へのカウント1-1からの3球目にスタート。打ちに出た木浪の打球が投手内野安打となり、一、二塁となった。さらに、8番植田のカウント2-1からの4球目に二走・梅野と一走・木浪が重盗成功。矢野監督は「リュウ(梅野)があの状況を作れたというのがね。内野も前に来て、ヒットゾーンは広がる。相手にプレッシャーをかけるというか味方を勇気づけるというか、楽にさせる盗塁。中身がしっかりある盗塁だった」と絶賛。チーム35盗塁はリーグトップ。強みを示したプレーを植田が生かし切った。

植田は5回守備の一塁送球で失策がついたが、7回の大城の一、二塁間への打球をアウトにするなど好プレーもみせた。矢野監督は「海(植田)もスタメンで出だして落ち着いてきている」。反攻のカギを握る1人だ。【松井周治】