一振りで勝利を運んだ。中日福田永将内野手(32)が、1点を追う7回に2号3ランを左中間に運んだ。チームにとっては今季初の巨人戦連勝で、初の勝ち越し。昨季チーム最多タイの18本塁打を放った和製大砲の会心の一撃は、首位巨人をたたく頼もしい1発となった。

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快音がナゴヤドームに反響した。7回1死一、三塁。今季初勝利目前の巨人先発畠の2球目149キロ直球を、見逃さなかった。打球は左中間スタンドに吸い込まれる。福田は、スピードを上げてダイヤモンドを駆け抜けた。

「感触は入ったかなって感じ。ホームランは気持ちいいっすね。畠投手はいい球を投げていた。一番いいのはストレート。ストレートに合わせて行きました」。今季初の本拠地でのお立ち台で、ヒーローは笑顔を振りまいた。本塁打は7月26日阪神戦(ナゴヤドーム)以来34打席ぶり。久々の感触を堪能した。

昨季は9月に13年目で初めて月間MVPを受賞した。主砲ビシエドと並ぶ自己最多タイの18本塁打を放ち、チーム本塁打王。しかし、今季は出遅れた。昨季チーム6試合目で放った1号は、同33試合目までずれ込んだ。

7月下旬からナゴヤドームでの試合前には早出でのロングティーを採り入れた。三塁側からレフトへ向かってひたすらノックバットを振り続けた。「長打が出なくて飛ばす感覚を思い出すためにチャレンジしていた」。通常の試合前練習が始まる前に、スタッフとともにレフトスタンドで自らが放ったボール拾いをする日課が、チームの勝利につながった。

一振りで今季チーム初の巨人戦連勝をもたらした。「(福田は)それまでの打席でタイミングが取れなかったが、我々は常に選手を信じて使う。それによく応えてくれた」と与田監督はスラッガーに目を細めた。

福田は「与えられたポジションで試合に出られればいいんです」と控えめに話す。9回2死。吉川尚のショート後方への飛球を、福田は全力ダッシュして、球場に響き渡る大声を上げてアピールし捕球した。背番号55が遅れを取り戻すのはこれからだ。【伊東大介】