トンネル抜けて幸せが舞い降りた!阪神オネルキ・ガルシア投手(31)が、8度目の先発で20年初勝利を挙げた。好調DeNA打線を力で押し込み、7回7奪三振1失点。前日岩貞が背信KOされるなど頼れる左腕先発が減る中、目覚めの快投で窮地を救った。この日ナインが着用した「幸せの黄色いマスク」効果もあってか、借金を2に減らして首位巨人に5・5差。今日12日の9連戦ラストも飾り上位浮上を目指す。

   ◇  ◇  ◇

ようやくガルシアに幸運が舞い降りた。3点リードの7回2死一塁。今季最多108球目となる149キロで1番桑原を遊ゴロに仕留めた。7回4安打1失点の力投。開幕から7戦4敗と苦しみ抜き、8度目の登板で待望の初白星。約2カ月に及ぶ長~いトンネルを抜けた左腕は「全てにおいて全力で低めにということを意識した。(7回も)ヒットを打たれてしまったけど、1球1球、1つのアウトを取ることを意識したよ」と笑顔になった。

ベンチの期待に見事応えた。この日は外国人枠の関係で、中継ぎで奮闘するガンケルがブルペンにいなかった。しかも長距離移動を挟んでの9連戦の8戦目。7回の打席に立ち、7イニング目のマウンドに向かった。前日は岩貞がKOされて頼れる左腕が少なくなる中、ムードメーカーの奮闘に矢野監督も感謝。「次につながるピッチングになった。もともとああいう(ノリのいい)性格なので、これからも乗っていってくれたら」と喜んだ。

「幸せの黄色いマスク」が勝利を運んだ。この日から矢野監督らがベンチで黄色いマスクを装着。宿泊するホテルから全選手、首脳陣、スタッフにプレゼントされた特別アイテムで、背番号入りの非売品だ。矢野監督は「気持ちがうれしい。勝負事の人って誰でも験を担ぐ。今日こうやって付けさせてもらって勝った。そういう風に(験担ぎに)なっていけば、またうれしい」と笑顔だ。

ガルシアにとっても黄色はラッキーカラーだった。昨季、今年と鳴尾浜で2軍調整を続けていた時期。ブルペン投球が終わると、毎回黄色いタオルを使ってひたすらシャドーピッチングを続けた。2軍のスタッフから通訳を介して「黄色は日本で縁起がいい色なんだよ」と聞くと、天を指さしてキス。黄色いタオルがお気に入りだった。

イエロー効果は降板後も終わらない。9回は相手のまずい守備なども重なって5得点を挙げた。ガルシアが登板した試合は、これまで7試合で援護点は9点、1試合平均1・3点だった。そんな今季のデータがウソのように10安打9得点と攻撃陣が奮起。真夏の横浜で悲運の左腕が、幸運を呼ぶ男になった。【桝井聡】

▽阪神福原投手コーチ(ガルシアについて)「立ち上がりは少しボールが高かったけれど、しっかり修正してくれて、中盤からは彼本来の投球ができていたし良かったと思います」