レジェンドユニホームの背番号「13」を背負った西武高橋光成投手(23)が、9回にノーヒットノーランを逃しながらも、被安打1で初の完封勝利を果たした。8回までオリックス打線を無安打投球。9回先頭の西野に中前安打を許した。同じ13番を背負い、9回2死から打たれた経験が2度もある西口投手コーチのリベンジとはならなかった。それでも後続を断ち切り、今季5勝目を挙げ、次期エースの風格を漂わせた。

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あのユニホームで、あの13番にとって、鬼門の9回。高橋光はノーノー達成の機運を必死に押し殺した。迎えた25人目。先頭西野へカウント1-1から低めのフォークを中前へ運ばれ、マウンドでしゃがみ込んだ。「9回入る前から、すごい『いけるんじゃないか』という気持ちが出てきてしまって。必死に抑えていたんですけど、やっぱり出てきちゃいました」。それでも後続を断ち完封勝利を挙げた。

黄金時代を築いたレジェンドユニホーム。かつての13番、西口投手コーチから9回の前に言われた。「2アウトまでいけよ」。02年と05年に9回2死からノーノーを2度逃していた“先輩”。その姿を高橋光は「もちろん知っています。YouTubeで見ました。2アウトまでは何とかいきたかったですね」。西武が誇る本格派右腕の系譜をここでも、受け継いだ。

甲子園Vのドラ1投手として、エース候補と呼ばれプロ6年目。先発ローテを守った昨季、初の2ケタ勝利を挙げ柱の1人と期待された。しかし今季は開幕から安定感を欠いた。ベストを尽くす一方で、打者研究に動いた。

栗山、中村の両看板から打者心理を直接聞いた。「こういう風に待っている、ピッチャーが考えていることと、打者が考えていることは違うなと分かったので、すごく勉強になります。知っているのと知らないのでは違う。投げたボールにも伝わる」。前回も7回1安打無失点。結果に結びつけている。

直近10試合は7勝3敗。最大8あった借金は3まで減らした。試合後、リリーフ陣からは「1ヒットTシャツ」をつくろうと呼びかけられた。上昇ムードを生む快投。夏の逆襲は山賊のおはこ。1カ月遅れの逆転劇が、もう始まっている。【栗田成芳】

▽西武岡田(高橋光の投球に)「内容は見ての通り素晴らしかった。(ノーノーは)逆に、勝手に意識しているだろうと思ったので、あんまり声は掛けずに。やっぱり、僕と光成が持っていなかったということですね」