阪神西勇輝投手(29)が、プロ初の2戦連続完封勝ちでチームを救った。「本当にずっと連敗が続いてましたんで、ドームで勝つことの大変さもそうなんですけど、無事に完封できてよかったと思います」。阪神では14年のメッセンジャー以来、日本人に限れば92年の湯舟以来28年ぶりの快挙。中5日でチームトップの7勝目を挙げた。

マウンドで時折首をかしげるそぶりとは裏腹に、巨人打線を次々手玉に取っていった。初回を3者凡退でスタートすると散発4安打。5回からは先頭打者をきっちり抑え、反撃ムードさえ起こさせなかった。7点差の9回1死二、三塁で打席に立つと、外低めのスライダーを強振。相手の悪送球を誘って8点目をもぎ取った。「本当に三振してもいい場面なんですけど、野球っていうのは何が起こるか分からない」。勝利が決まるその瞬間まで、全力プレーだった。

リベンジを期した場所だった。19年10月13日のCSファイナルステージ第4戦。同点の6回2死三塁、丸に三塁線へ意表を突くセーフティーバントを決められた。素早く一塁へ送球するも、わずかにそれて決勝点を献上。西勇はグラウンドに膝をついたまま動けなくなった。「ギリギリのアウトを取れるようになりたいし、なるべきだと思う」。チームも終戦となった悔しさを胸に、成長を誓った1年前。この日は9回2死一塁で因縁の丸を一ゴロに打ち取り、会心の笑顔でゲームを締めた。

「巨人相手にチーム一丸となって、いい戦いができたと思います」。首位巨人の連勝を9で止め、8月15日広島戦(京セラドーム)から5連勝。今季登板14試合で102回と、両リーグトップで100回を突破した。矢野監督は「いやな流れの中で来て、投げ切ってくれるのは助かるし、さすがっていう姿を見せてくれてる」と称賛。熱い右腕がこれからもチームをけん引する。【磯綾乃】

▼阪神西勇が11日広島戦(甲子園)に続き、2試合連続で無四死球完封勝利。阪神投手の2試合連続完封は14年5月11日巨人戦、同17日DeNA戦のメッセンジャー以来だが、日本人では92年湯舟が9月10、16日の広島戦で記録して以来。2試合連続の無四死球完封はダルビッシュ(日本ハム)が11年6月1日阪神戦、同8日中日戦と続けて以来になり、阪神では69年5月7日広島戦、同11日巨人戦の若生以来、球団51年ぶり。

▼西勇はこれで9月3戦3勝。昨季も4戦4勝。オリックス時代は通算10勝10敗だったが、阪神移籍後9月は7戦7勝と負け知らずで“秋男”ぶりを発揮。