ヤクルト荒木の“代打びっくりバスター弾”が試合を決めた。本人もベンチも、ファンも驚きの1号2ラン。チームの連敗を3で止め、カード初戦を白星で飾った。

4-3で迎えた7回無死一塁、代打で呼ばれた。犠打の構えで阪神能見の初球、低めボールを見逃し。代打の切り札は、冷静だった。サインはバスター。三塁手大山の前進守備が見えた。2球目も犠打の構えをしたが、投球動作を見てヒッティングに切り替え。「三遊間にしっかり転がそう」。高めの143キロ直球をとらえると、打球は三遊間を飛び越えて左翼スタンドへ。「びっくりですね。本当に。たぶん全員びっくりしたと思う」と笑顔。作戦が的中し驚きの表情を見せた高津監督も「ちょっと本塁打は想像していなかったので」と笑った。

阪神からコロナ陽性者が出たことで、チームには動揺もあった。次々と更新される情報。雨も降り、試合は開催されるのか-。その中でも早出から、いつも通りに練習。「僕だけじゃなく、チームとしても難しい試合の入り方だった。でもしっかり勝てたということは、1人1人がいい準備をできたと思う」。いつも通りの努力を続ける。だから、ここぞで驚きの当たりが生まれる。【保坂恭子】