“ゆあスマイル”が1軍デビューだ。高卒2年目の日本ハム田宮裕涼捕手(20)が、27日オリックス14回戦(京セラドーム大阪)でプロ初出場し、初打席初安打を記録した。8回の守備から出場し、9回にオリックス漆原から中前打を放った。脳振とう特例措置で出場選手登録を外れたクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(29)の代替選手として、26日に初昇格。さっそく勝負強さをアピールした。

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塁上で愛くるしい“ゆあスマイル”が輝いた。9回先頭、田宮のプロ初打席。オリックス漆原の150キロに迫る剛速球を空振りし、1-2と追い込まれたが、4球目、外角の落ちる球にバットを合わせた。体勢を崩しながら、最後は右手1本で中前へ。「真っすぐに対してタイミングが遅くなっていたので、早くしようと打ちにいったら、たまたまフォークが来て、前で拾えたっていう感じです」。2年目で生まれたプロ初安打に、照れ笑いした。

ドタバタで1軍に合流した。脳振とう特例措置で抹消となったビヤヌエバの代替選手としてプロ初昇格。25日に平塚でナイターの2軍戦に出場し、鎌ケ谷の寮に帰って就寝すると、翌26日朝には即大阪へ移動。なんとか、午後2時プレーボールの試合前練習に間に合った。

2軍では人気急上昇中だ。千葉・成田高から18年ドラフト6位で入団。この日先発だった吉田輝を筆頭に、甲子園のスターが集う同期たちの中で目立つ存在ではなかったが、人懐っこい童顔と「ゆあビーム」と呼ばれる強肩、俊足捕手という意外性で、ファンの人気は高まっている。高校時代は胃けいれんや逆流性食道炎に苦しむなど、決して強くなかった体も「(入団時と比べ)4キロほど増えました」。胸囲や胴回りが太くなり、プロの体になってきた。

「うまく打っていたね。打つほうは、非凡なものを感じていた」とうなずいた栗山監督は、「ここ1発で力を発揮できるのは良いことだし、いいものを持っている」。キラリと光った新戦力に目を細めた。【中島宙恵】