阪神はなすすべがなかった。青柳が自己最多8失点で崩れ、2失策と守りも乱れた。今季絶好調の中日大野雄にこれでは勝負にならない。打線はわずか2安打。あっさり完封を許し、12球団最多となる10度目の零敗。甲子園では9連勝だったお得意さまにしっぺ返しを食らい、連勝は2で止まった。

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甲子園にヤジが飛んだ。「いつまでたっても終わらんぞ!」。3点ビハインドの5回だ。阪神先発青柳がサンドバッグ状態になった。先頭の京田に左中間への三塁打を浴び、続くアルモンテの左犠飛で1点を献上。2死から高橋に四球を与えると、まさかの4連打…。投手の大野雄にも2点適時三塁打を許す始末で、試合を0-8とぶち壊した。

右腕のもどかしさを代弁するかのように矢野監督が口を開いた。「味方が足を引っ張ってるところもあるし、2死から粘れないっていうね。課題はまだあるし、(失敗の)回数を減らしていくとか、成長していかないとね」。5回9安打5四球と乱れ、自己ワーストとなる8失点。白星から1カ月以上も見放されて7敗目(6勝)。ついに黒星が先行した。

確かにスタートから味方のミスが連発した。1回無死一塁。京田の遊撃へのゴロを小幡がトンネル。捕球していれば少なくとも二塁は封殺できたが、無死一、三塁にピンチを広げ、1死満塁から高橋に先制の犠飛を浴びた。1点ビハインドの3回には無死一塁からアルモンテに三遊間を抜かれると、左翼サンズが平凡なゴロをファンブル。無死一、三塁となり、ここからこの回2失点。5回は失策こそつかなかったが、大野雄の打球にチャージをかけた近本が捕球できず後ろにそらし、傷口を広げた。

両リーグワーストの62失策。2失策が失点につながる最悪の展開に、矢野監督も手厳しかった。「あいつは、竜平(小幡)自身も守りで信頼を得て、勝ち取っていく選手だと思う。そういう結果を踏まえてどうしていくか。サンズも(打球が)跳ねているんだけども、それも言い訳にはできない」。開幕から甲子園の中日戦は7戦全勝、昨年から9連勝だったが、先発右腕の自滅と守備のミスで勝利を手放した。好投手大野雄の前に打線も2安打と沈黙し、12球団最多となる今季10度目の完封負けを喫した。コロナ禍に苦しむ虎。沈んだ空気を何とか吹き飛ばしたい。【桝井聡】

▼阪神の完封負け10度は今季12球団最多だ。安打2の完封負けは、8月14日広島戦で森下に喫して以来、今季2度目のワーストタイ。完封負けでの9失点は、今季最多。