巨人岩隈久志投手(39)が今季限りで現役引退することが19日、分かった。同日中に発表される。

岩隈は19年から巨人に入団したが右肩痛のため2年間1軍登板はなかった。

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岩隈と言えば、人当たりが柔らかく、謙虚かつ温厚な性格として知られる。ただ、胸の内に秘めた熱さは、さほど知られていないのかもしれない。

09年WBC決勝で快投し、NPBで通算107勝を挙げた岩隈は、12年の米移籍直後、開幕ローテから外れ、敗戦処理からスタートした。春季キャンプ中、関係者が「メジャーの先発投手としては筋肉量が足りない」と漏らした言葉は、かなり衝撃的だった。球団の方針は、救援として登板しながら規定の数値まで上げる、というものだった。無論、岩隈にすれば屈辱的だったに違いない。それでも、現実から目を背けることはせず、鋭利な反骨心は胸にしまった。常に温和な口調で話す分だけ、精神力の強靱(きょうじん)さは、簡単な言葉では表現できない。

初先発したのは、15試合目の7月2日だった。「何でもチャレンジしていこう。はい上がる気持ちを持ちながらやってこられました」。時折、マウンド上で見せる怖いほどの眼光こそ、投手岩隈の闘争本能だった。だが、本能だけでは故障には勝てなかった。

ユニホームを脱いだ岩隈は、いつものように礼儀正しく、穏やかな表情で、次のステージへ歩いて行くに違いない。【MLB担当=四竈衛】