勝てなかった。でも、負けなかった。西武が5点差を追いつき、価値ある引き分けに持ち込んだ。敵地で初回に5点リードを奪われる状況から、引き分けに持ち込んだ。試合後の辻監督は開口一番「よう頑張ってくれたよ、選手は! よくここまで粘ってくれました」と選手をたたえた。

先発今井が1回もたず6失点。それでも初回2死一、三塁から投入された宮川ら7投手が無失点リレーでつないだ。打線は相手の隙をつきながら、着実に忍び寄った。2回に9番呉念庭の右前適時打で1点。6回に2点差に。7回、外崎の8号ソロで最接近すると、1死一、三塁からスパンジェンバーグが左前へ同点適時打を決めた。「とにかく諦めない。その気持ちで打った」と、助っ人がチームの思いを代弁した。

6日からの敵地4連戦は山賊の大移動が続く。仙台での2試合を終えると、この日のうちに千葉に入り、ロッテとの「11・8」決戦に備えた。試合後には福岡へ空路移動。所沢を起点に帰路も含め4試合で約3000キロの大移動となるが、CS出場権を手土産にすることしか考えていない。

代償はある。平良が7回途中から回またぎ、守護神増田も2イニングを投げた。激戦が続くが、辻監督は「そんなこと言ってられない。あと2試合だから、泣いても笑っても。いきますよ、そういう(接戦の)展開になったら。明日は(ロッテに)勝つことしか考えてない。勝たないとダメでしょう」。指揮官自ら総決算と位置づけ、大移動のクライマックスを迎える。【栗田成芳】

▼ロッテ○、西武△の結果、ロッテが単独2位。今日8日の直接対決でロッテが勝てば07年以来13年ぶりのリーグ2位となり、16年以来のCS進出が決まる。△か●の場合、CSの行方はリーグ最終日となる9日に持ち越し。