広島田中広輔内野手(31)が30日、マツダスタジアム内で会見を開き、今季中に取得したフリーエージェント制度(FA)を行使せずに残留することを発表した。会見場に姿を見せると、「私、田中広輔はFA宣言せずに、残留することを決めました」とあいさつした。

新選手会長を務めた今季は遊撃のレギュラーとして112試合に出場し、打率2割5分1厘、8本塁打、39打点、8盗塁。リーグ7位タイの55四球を選ぶ、しぶとい打撃と、堅実な守備で昨夏の右膝手術からの復活を印象づけた。

「やっぱりカープというチームが好きですし、今まで戦ってきた仲間とまだ野球をやりたいなと。そういう気持ちがありましたし、あとはやっぱり選手会長になって悔しいシーズンになったので、何とかもう1回強いカープをという気持ちがあった。そこが決め手です」

佐々岡監督や河田新ヘッドコーチからは直接ラブコールをもらった。「(監督からは)これからも引っ張ってくれという言葉をいただきました。やっぱりうれしかったですね。(河田ヘッドからは)連絡をくれたりもした。一緒にやりたいなという気持ちはずっとありました。とてもありがたかったですし、僕もそれに応えたいなという気持ちになりました」。FA申請期限日となる12月4日を待つことなく、28日には球団に残留の意志を伝えていたという。球団への愛着と、選手会長としての責任感から広島残留を決めたリーダーが、来季も先頭に立ってチームを引っ張る。