西武、巨人、オリックスでプレーした清原和博氏(53)が5日、野球界を語った。一般財団法人グリーンシードベースボールファンデーションの代表理事として、中日OBの立浪和義氏らと西東京市で小学6年生を対象とした野球教室を開催。日本シリーズ、注目の強打者、12球団合同トライアウトを受験する新庄剛志氏や西武松坂大輔投手、11月に死去した取手二、常総学院の監督だった木内幸男さんの思い出など、幅広く語った。【取材、構成=斎藤直樹】

◆のびのび木内野球に衝撃

先月、取手二、常総学院(ともに茨城)で監督として3度の甲子園優勝を果たした木内さんが死去した。清原氏はPL学園(大阪)で高校2年の夏、甲子園の決勝で取手二に敗れている。

「6月に取手に練習試合で行って、10-0ぐらい(13-0)で勝っていた。まさか甲子園で負けるとは思わなかった。PLは3年間全寮制で管理された野球だった。(取手二は)選手が笑顔で伸び伸び野球をしていた。それが衝撃的で。やんちゃな軍団を木内監督がまとめていた。本当にすごいなと思う。甲子園の名将が亡くなるのは残念」

この試合は清原氏にとって、夏の甲子園では唯一の黒星。木内監督は9回、高校野球では当時、異例だったワンポイント継投を繰り出した。大会中にはご褒美に海水浴も認めた。心に刻まれた一戦だ。

◆日本シリーズ巨人がソフトバンクに苦手意識

今年の日本シリーズは、ソフトバンクが4勝0敗で巨人を下した。4試合の総得点が26-4と圧倒的な大差となったが、そこに清原氏は伏線を見た。

「ソフトバンクの圧倒的な強さと、やはり去年ジャイアンツが4タテを食らっていて、苦手意識を持っていたのではないか。4タテされてなかったら、選手ももう少し楽にできていたのではないか」

昨年の日本シリーズも、ソフトバンクが4連勝で巨人を下していた。総得点は23-14も、勝敗のインパクトは多大だった。

清原氏は西武に在籍していた90年の日本シリーズ、4勝0敗で巨人を下した。巨人岡崎が「野球観が変わった」と語った年。02年のシリーズでは、巨人の中軸として西武に4連勝している。第1戦で松坂、第3戦で張誌家から本塁打を放ち、優秀選手賞を獲得している。

◆注目強打者は岡本、鈴木、柳田

通算525本塁打、1530打点の実績を誇る清原氏は、同タイプの注目しているプロの強打者として3選手の名前を挙げた。

「特に成長が目立ったのはジャイアンツの岡本選手。僕自身、一番応援しているのは(広島)鈴木誠也選手。チームが低迷する中、そういう中でメンタルをコントロールするのが難しそうだった。あとソフトバンクの柳田選手。本当にさらにバージョンアップしている」

現役時代は、ロッテ伊良部、近鉄野茂、阪神藤川ら剛速球投手と「平成の名勝負」を繰り広げてきた。令和時代にも思いをはせた。

「今は150キロが当たり前。160キロを出す投手もいる。勝負したかったな」

オリックス山本、ソフトバンク千賀、巨人菅野らと対戦したら、どういう結果になっただろうか。

◆新庄頑張れ、松坂来年ぜひ

清原氏は現役時代が重なった2人にエールを送った。新庄氏は、7日に12球団合同トライアウトを受験する予定。48歳にして、日本ハムに在籍した06年以来15年ぶりの現役復帰を目指している。

「新庄君は華があるし、見た目と違って野球に対する姿勢は素晴らしい。ぜひ頑張ってほしい。願いとしては、受かってほしい。低迷する野球界にスパイスとして入ると盛り上がる」

西武松坂は、40歳で迎える来季も現役続行。度重なる故障に苦しむ姿に自らの現役時代を重ねた。

「本人が一番もどかしさを感じていると思う。同世代の(阪神)藤川投手が引退して焦りもあるだろうし。自分もけがを経験した。ぜひ来年は松坂が帰ってきたなという姿を見せてほしい」

西武の後輩に温かい目線を向けた。

○…清原氏が野球教室で小学生から死球を受けた。午前は真剣勝負で打席に立ち「まさか死球を受けるとは。現役時代ぶりに、土手っ腹に。楽しくできました」と笑い飛ばした。午後に打撃極意を伝授。「タイミングが大事。1、2、3の2が大事でボールとストライクを見極める。家で素振りをする時も投手を想定してタイミングを合わす」。16年に覚醒剤取締法違反で有罪判決受けたが「執行猶予も明け約半年がたつ。いろいろ発信したい」と今後はユーチューブでチャンネル開設する。