人気球団ならではの注目度も重圧も、自然体で受け流せる余裕がある。大リーグ59勝の実績はやはり重い。ロッテから阪神に新加入したチェン・ウェイン投手(35)は28日ヤクルト戦で虎初実戦に臨み、熟練のマウンドさばきで一気に首脳陣の心をつかんだ。

初回は「投げ急ぎがあった」。簡単に2アウトを奪った後、3番山田にチェンジアップをすくわれた。左越えソロを許し、さらに4番村上、5番内川の2連打で2死一、二塁。ここで動じることなく6番西浦を捕邪飛に打ち取ると、配球を変えた。「梅野と話をした。打者も積極的に振ってきていたので」。2回はツーシーム、チェンジアップ、カーブの割合を増やして3者凡退に仕留めた。

2回を3安打1失点。主要な球種とはいえないカーブを多投できる視野の広さがある。「リズムに重点をおいてマウンドに上がりました。基本的には良かったかな」と納得顔だ。150キロ超の直球で押す中日時代のスタイルはなくとも、最速143キロと変化球のコンビネーションで難なく打ち取る姿は魅力十分だった。

矢野監督は「さすが。コントロールとか変化球とか投球術とか、レベルはやっぱり(大リーグを経験して)上がっている。もうワンランクぐらい上がると思う」と絶賛。高橋が右脇腹負傷で開幕に間に合わない事情もあり、早くも開幕ローテメンバーの中で左腕の柱に躍り出る勢いだ。

米国時代は先発ローテを長年守った後、絶不調もリリーフへの配置転換も経験した。環境の変化に流されない強さがある。「(高橋の負傷など)こういう状況だからといって、特に(柱の座を)勝ち取るとかは考えてはいない。自分の調整を中心にやっていけたら」。頼もしい存在になってくれそうだ。【佐井陽介】

▽中日金子スコアラー 実績十分の余裕というか、うまい投球をするなと思いました。制球力もいいし、自分が持っているボールをうまく使って、さすがという投球ですね。

▽DeNA加賀スコアラー 力感なく投げていて、状態はいいなと感じた。右打者の内角に角度のいいボールが来ていた。特に右打者は警戒していかないといけない。

▽巨人横川スコアラー 疲れた時にちょっとバラつきはあったけど、バランス良く投げていた。状態が上がってくれば、もっと右打者のインサイド真っすぐが差し込まれるようになる。そのへんが決まってきたら、外のツーシームなどがもっと生きてくると思います。

▽広島岩本スコアラー 低めに集めながらの投球は、すごいなと思って見ていました。なかなか打てる投手ではない。昔のストレートのイメージから、ゴロを打たせていくイメージに変わりながらやっている。いかに打たされないようにするか、考えないといけない。

阪神担当のツイッターはこちら―>

阪神ニュース一覧はこちら―>