8日に札幌から福岡入りした巨人に、育成の山下航汰外野手(20)が合流した。6日の教育リーグ・西武戦では本塁打を放つなど5打数4安打2打点。昨季は右手の有鉤(ゆうこう)骨骨折に苦しんだが、19年に高卒新人ながらイースタン・リーグの首位打者に輝いた打撃を取り戻し、支配下登録の返り咲きに向け、まずは1軍切符をつかんだ。

育成選手ながら、山下が加わったことで1軍の野手は18人に。12日のオリックス戦(京セラドーム大阪)からは中島と亀井も加わり、野手は総勢20人に膨らむ。コロナ禍による特別ルールで、今季も1軍ベンチ入りは26人と通常より1人多くなる。原辰徳監督(62)は「みんな、そこそこ頑張ってくれてるもんね」と野手陣のアピールを喜ぶ一方で、「その中でも(野手は)17人くらいにはしなきゃダメだなと思うね。致し方ない。20人で動いても効率が上がらないよね」と、うれしい悲鳴を上げた。

「メガゴジラ」の存在が、競争をさらに激しくさせている。球界で最長身となる身長2メートルのドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)は対外試合で31打数8安打で、オープン戦に限れば9打数3安打で打率は3割3分3厘。6日の日本ハム戦(札幌ドーム)で07年坂本勇人以来となる巨人の高卒新人のオープン戦安打を記録すると、翌7日の同戦では2安打を放ち、伝統球団では93年の「ゴジラ」松井秀喜以来となる高卒新人のオープン戦マルチ安打を決めた。秋広は自らのバットで「1軍経験を積ませる」→「試してみる」→「戦力として起用する」という位置まで、自力で階段を上ってきた。59年王貞治以来となる球団の高卒新人の開幕スタメンも夢物語ではなくなっている。

新戦力もサバイバル激化に拍車を掛ける。1日にヤクルトからトレードで加入した広岡大志内野手(23)は、移籍4日目の古巣戦で移籍後初アーチを描いて初のスタメン起用に応え、1軍の戦力になっている。「個の能力を高めた上での高いレベルでの競争」を求めてきた指揮官は「仮に秋広が(開幕)メンバーに入ったりすると大変だよね。メンバー構成が。広岡にしても、もし入るようなことがあったらね。かなりレベルが上がっているような気がするね」と、うなずいた。

百戦錬磨の中島と亀井は、コンディションさえ整っていれば開幕メンバーに名を連ねるだろう。秋広や広岡だけでなく、若林、北村、増田大らも1軍で懸命なプレーでアピールを続けている。ベテラン2人の合流前ラストとなる福岡での王者ソフトバンクとの2連戦は、開幕メンバーを占う試金石になる。【浜本卓也】