ロッテ佐々木朗希投手(19)がプロ初勝利を挙げた。地元岩手の関係者たちも喜びに包まれた。

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佐々木朗の出身地である岩手・陸前高田市の戸羽太市長(56)は「本当におめでとうございます。ヒヤヒヤしましたが、1つ勝てたので、これを自信にしてどんどん大きくなってほしいです」と喜んだ。

戸羽市長は、東日本大震災で亡くなった朗希の父・功太さん(享年37)とも付き合いが深かった。「有言実行の人。一緒にやろうという仲間作りが上手な人でした。気さくで行動力があって。先輩も後輩もみんなが付いていって」と懐かしむ。

ある日、功太さんに会いに行くと、小学校低学年の朗希とキャッチボールをしていた。「功太のやつ、朗希君に真剣に投げていたんですよ」。思わず「バカッ」と怒ったが、功太さんは当時から「朗希はすごい選手になる」と話していたという。

予言は実現し、ついにプロ野球の世界で勝利投手になった。「被災地から、ああやって逆境から活躍してくれて、みんなに目に見えない力を与えてくれる存在です」。市街地が壊滅的被害を受けた陸前高田市では、震災から10年強が過ぎ、かさ上げされた新しい大地の上にようやく新市庁舎が開かれた。「今日も昼間の市役所は、朗希君の話題がけっこうあったんですよ」。復興の象徴として、ますますの活躍を祈念する。

最後に「そういえば」と付け足した。「周りの野手の皆さんからも、すごい“勝たせてあげたい”空気を見ていて感じました。朗希も愛されキャラなんですね」。亡き友人と重ね合わせていた。【金子真仁】