日本記録に王手弾!! 広島鈴木誠也外野手(27)が球団タイ記録となる6試合連続本塁打をマークした。

1回に中日勝野から右中間席へ26号ソロを放ち、72年の巨人王貞治、86年の阪神バースが持つ7戦連発の日本記録に王手をかけた。さらに同点の4回には決勝27号2ランと、直近6戦で8発と量産。主砲に導かれ、チームは2カード連続勝ち越しで4位に再浮上した。

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鈴木誠が球団タイ記録となる6試合連続弾でスタンドのボルテージをさらに上げた。先制弾の余韻も冷めやらぬ1回1死。中日勝野の外寄りのスライダーを振り抜き右中間席に放り込んだ。87年ランス、05年新井の球団記録に並び、72年の巨人王貞治、86年の阪神バースが持つ7戦連発の日本記録に王手をかけた。

「詰まろうが、先っぽだろうが、自分のスイングができていれば確率良くヒットは生まれると思う。それが今のところはハマっているのかな」

またも第1打席目にアーチを描いた。1打席目の本塁打は5試合連続。いずれも試合の主導権を握る価値ある1発。この日はさらに同点に追いつかれた4回に中日岡田の低めスライダーを拾い上げて、左翼席に放り込んだ。値千金の決勝弾にも「点を取られた後だったので、すぐに取り返すことが出来て良かったです」と淡々と振り返った。直近6戦で8発の量産態勢。その間、3試合で決勝弾と、勝負強さも発揮する。

球団記録や日本記録という言葉にも、鈴木誠からは景気のいい言葉は聞かれない。「バットに当たってしまえば、アウトになるかの2択。今はその(ヒットになる)確率が高くなっているだけ。打撃はホント水物。いいものは続かない。その中で最低限できることをやっていければ」。もともと個人記録に興味を示さない。ここまでの自身の働きに満足していない現状が、記録への欲もかき消す。「そんなこと言っている場合じゃない。みなさんが盛り上がってくれれば。僕はもう毎日必死で打たないと」。試合後、球場を出たのは誰よりも遅かった。チームの勝利を最優先に考える主砲の復調とともに、チームは2カード連続で勝ち越し。4位に再浮上した。

野球を始めた頃、野球界はイチローや松井秀喜が全盛。スター選手の影響もあり、左打ちにする野球少年が多くいた。鈴木誠も左打ちを器用にこなしていたが、父宗人さんから「お前の時代には必ず右打ちが求められる」と言われ、右打ちを変えなかった。時をへて、広島の4番となり、日本代表の4番となった。日本球界を代表する右打者として、同じ右打ちで広島の先代4番・新井らの記録に追いつき、10日はプロ野球界の右打者として初めての領域を目指す。【前原淳】

▽広島佐々岡監督(鈴木誠について)「練習のときからずっと見ていても、本当にすごいんですよ。ビックリするくらい打球を飛ばしていますから。相手投手からしたら、投げるところがないんじゃないかと思うくらい、絶好調ぶりを見せてくれている」