同じ外角への同じ球種、西武森友哉捕手(26)は見逃さなかった。2点リードの5回1死一、二塁、初球から2球続けた外角チェンジアップをとらえた。左中間への2点適時二塁打で4点リードに広げる一打に「うまく追っつけて打つことができた」。守ってはバッテリーを組む高橋に11勝目をもたらして連敗を3でストップ。「どの球種でもカウントを整えることができていました」と、まずはチームの勝ち頭をたたえた。

3回の打席では、ここでも外角攻めをボール1個分見極め、四球を選んで満塁男・中村の舞台を演出。7回にも2つ目の四球を選び、2打数1安打2四球。打率を3割1分9厘に上げリーグ2位と、2年ぶりの首位打者を狙える位置につけている。ライバルのオリックス吉田正は3割3分8厘の数字を残して離脱中。森は首位打者争いを「まったく考えていないかと言われればウソになりますが、そこまで意識していないです」と、チーム打撃の先にタイトルを見据える。

負ければ自力CS進出の可能性が消滅する一戦で、本領を発揮。出塁率は4割2分5厘でリーグトップに躍り出た。「今日は久しぶりに自分の理想とするバッティングができました。よかったです」と攻守の要が語る手応えは、5位に甘んじるチームに最良の薬。残り27試合。上り調子の森がいれば、チームの反転攻勢もまだ遅くはない。【栗田成芳】

▽西武辻監督「(森)友哉はいいところで打ってくれるし、四球を選んで出塁率も高い。(3回に四球で)満塁にしたことで、雰囲気的に満塁男のサンペー(中村)が打ってくれるという気持ちにベンチはなっていましたよ」

 

◆規定打席不足の首位打者 野球規則の9・22で首位打者、最高長打率、最高出塁率の基準が決められており、規定打席に満たない打者が不足分を打数に加えて再計算し、規定打席到達者の打率、長打率、出塁率を上回る場合は、その打者がリーグ1位になる。過去に、1軍で規定打席不足の首位打者はいないが、長打率は11年阿部(巨人)と19年グラシアル(ソフトバンク)が規定打席不足で1位となった。ちなみに、2軍ではしばしば見られ、最近では18年のイースタンで石川(巨人)が規定打席不足で首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した。

◆吉田正(オリックス)は現在437打席で376打数127安打の打率3割3分8厘。このまま欠場した場合、最終の規定打席443に6打席足りないが、不足分を打数に加えると、382打数127安打で打率3割3分2厘。規定打席到達者のトップが、この打率より低い時は吉田正が首位打者になる。