2年前の決断は、間違いじゃなかった。楽天則本昂大投手が3年ぶりの2桁勝利となる10勝目を挙げた。

今季最多127球で8回途中3失点。7度目の2桁勝利は田中将を上回り、球団最多となり「自分が完投して勝ったのは2勝だけで、8勝分はチームの皆からもらった勝ち星。チームが勝てるように、これで満足しないようにやりたいです」と、感謝と貪欲さをにじませた。

未来のために、犠牲を払った。7年契約1年目の19年3月、右肘のクリーニング手術を受けた。当時GM専任の石井GM兼監督と議論を重ね、メスを入れた。負担も考慮し、昨季はワインドアップからセットポジションにも挑戦。だが1年目の13年から6年連続2桁勝利も、術後2年は、ともに5勝止まり。今季は「肘に変な心配をせずに投げられることがほぼ3年ぶりくらい」とワインドアップに戻し、打者を圧倒する本来の球威を取り戻した。

宮城、山本の2本柱をそろえた2位オリックスとの3連戦初戦を取り切り、1・5ゲーム差に詰め寄った。右腕は「この3連戦を勝ちきらないと優勝は見えてこない。今日は本当に勝てて良かった」とかみしめ、8年ぶりの頂点への道を描いた。【桑原幹久】