東京オリンピック(五輪)日本代表監督として、侍ジャパンを金メダルに導いた日本ハムOBの稲葉篤紀氏(49)が27日、新たに球団のゼネラルマネジャー(GM)に就任し、本拠地の札幌ドームで記者会見に臨んだ。球団のスポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)職と兼務。吉村浩前GM兼チーム統轄本部長(57)は、統轄本部長専任となる。「現場に近いGM」として、新監督に内定している新庄剛志氏(49)と常勝復活を目指す。

侍ジャパン監督として過ごした激闘の夏から、約3カ月。真っすぐにスーツ姿の背筋を伸ばした。就任会見に臨んだ稲葉GMは「現役生活20年間、侍ジャパン監督として4年間、この経験とチーム強化方針である『スカウティングと育成』を融合させて、未来に向け、しっかりとチームを作り上げていきたい。強いファイターズを作っていきたい」と黄金期復活を期した。

 仰天人事を要請されたのは、9月末。正直、最初は戸惑った。「野球に対する情熱、知見、眼力、ネットワークを考えると適任ではないかと考えた」と川村球団社長。侍ジャパン監督として、12球団を見渡し金メダルチームを編成した手腕や他球団とのネットワークが、大任抜てきの理由だった。「ここまで育ててもらった恩がある」と言う稲葉氏は「少しでもその恩を返せたら」という思いで、快諾した。

 新監督に内定している新庄氏と、タッグを組んで目指すのは「常勝軍団」だ。そのためにも、新体制の組閣では「どういう人選をすれば、ちゃんと選手を育成出来るか」がテーマになる。若手主体のチームは現在、投打に再建途上。「選手たちと、たくさんコミュニケーションを取りながら、立て直していく。『行くぞ!』という強い気持ち」と、熱弁した。

 この日、さっそく全体練習中のグラウンドを訪れて、退任まで残り2試合となった栗山監督とグータッチ。今後は、初仕事として宮崎県内で開催中のフェニックスリーグを視察し、来月3日から沖縄・国頭村で行われる秋季キャンプに足を運ぶ予定だ。「キャンプ中はスーツを着ずに、グラウンドに出て、時にはアドバイスをする」と、ジャージーに着替えて、新しいGM像を作り上げていく。【中島宙恵】