ソフトバンクは29日、藤本博史監督(57)の就任を発表した。11年にコーチとしてソフトバンク復帰し、19年から2年間は3軍監督、今季は2軍監督として若手を指導してきただけに「世代交代」を積極的に進める考えだ。また、王貞治球団会長(81)の「特別チームアドバイザー」兼務も発表され、藤本監督は現場、フロント一体での「チーム一丸」を強調し、8年ぶりBクラスからの巻き返しを誓った。藤本監督は22年からの2年契約とみられる。

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トレードマークの、口元のひげをきれいに整えて会見の席に着いた藤本新監督は「すごく緊張しています。野球人としてこんな光栄なことはまず巡ってこないだろうと思っていた」と緊張の面持ちを見せた。81年ドラフトで南海入りしてから40年。「プロ野球人として最高峰のポジションですよね。やっぱりやりがいがあるんじゃないかな」と、自身も驚いた監督就任の要請を受諾した。

11年から11年間で、1軍から3軍までの指導経験がある。「2軍にもいきのいい選手がたくさんいる。ベテラン、中堅、若手が交じって競争してもらえたらいい。レギュラーはまだ決まってないし、2軍の若い選手も十分チャンスがあると考えてもらってもいいかなと思います」。チームを知り尽くすからこそ、再建へ「世代交代」を積極的に進めることを説いた。

現場だけではなく、フロントとの「チーム一丸」で巻き返しを図る。王球団会長が特別チームアドバイザーを兼務し、これまでより積極的に、選手やコーチらに助言を送ることになった。藤本監督は「王会長、三笠GMとも相談しながらやっていきたい。意見はどんどん聞きますから。コーチ、選手の意見もどんどん聞いて、みんながひとつの方向に進んでくれたらと思います。チーム一丸となって優勝、日本一に向かって頑張っていきたい」。総力を挙げて、リーグ優勝と日本一の奪還を目指す。

今後はすぐに宮崎に戻り、11月1日まで続くみやざきフェニックス・リーグを引き続き指揮。2日に1軍の全体練習に合流し、そのまま秋季キャンプの指揮を執ることになる。南海、ダイエー、ソフトバンクと「ホークス」の歴史を知る新指揮官が、新たな常勝の歴史をつくる。【山本大地】

○…藤本新監督は、前任の工藤公康氏がつけていた背番号「81」の継承を志願した。現在は2軍監督として「76」を付けており「工藤監督の番号をもらいます!」と、力強く宣言。正式決定はしていないが「7年で5回日本一になってるわけですから、すごく重たい。なかなか僕は追いつけないと思うんですけど、少しでも近づくために工藤監督の番号をもらいます」と、名将の常勝魂を受け継ぐつもりだ。

◆藤本博史(ふじもと・ひろし)1963年(昭38)11月8日生まれ、大阪府出身。天理から81年ドラフト4位で南海入団。ダイエー時代の90年7月7日の日本ハム戦でサイクル安打を達成。98年途中にオリックスに移籍し、同年に引退。通算1103試合出場で715安打、419打点、105本塁打、打率2割3分5厘。引退後は解説者などを務め、11年に2軍打撃コーチとしてソフトバンクに復帰し、1軍打撃コーチや3軍監督を務め、今季から2軍監督。現役時代は184センチ、92キロ。右投げ右打ち。