鉄腕が、また1つの節目を迎えた。日本ハム宮西尚生投手(36)が21日、西武10回戦(札幌ドーム)で史上8人目、パ・リーグでは3人目の通算800試合登板を達成した。現役では、もちろん最多。4-0の9回、3番手で登場し、3者凡退で試合を締めた。歴代8位の登板数を誇る左腕が目指すのは、尊敬する岩瀬仁紀(元中日)の持つ1002登板の日本記録。ベテランの大記録が、チームの3連勝に花を添えた。

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西武の主砲、山川を二飛に打ち取ると、宮西はグラブをたたいて、喜んだ。4点リードの9回、3番手でマウンドへ。開幕からの不調がうそのように3者凡退に仕留め、笑顔で捕手の宇佐見とグータッチした。プロ15年目、36歳でたどり着いた800試合登板。鉄腕リリーバーは「札幌ドームで記録を達成したことは何回かあるけど、簡単に(節目を)取れる年でもないので、しっかり今日の景色を眺めたい」。チームの3連勝に花を添え、ファンの歓声が響く本拠地で喜びに浸った。

これまでも持ち前の器用さで、肘の痛みや不調を乗り越えてきたが、近年は成績が下降の一途をたどるばかり。「去年から、こんなに1試合が遠いもんなんやって。内容が付いてきていない」。18年オフに受けた左肘手術の影響か、肘をかばって投げているうちに投球フォームを崩し「スライダーの投げ方が全然わからない」と、深刻な事態に陥った。

今季は開幕から絶不調。「イライラして寝られなかった。『何でや』『こんな感じやないのに』『何があかんねん』と」。ただ、原因がわかってからの復活は早かった。フォームを修正し、トレーナーによる治療もあって「ここ最近は、足をしっかり使える感じ」。軸足に乗り、体重移動がうまく出来るようになったことで、状態も上向きだ。「今は思い切って投げられる」。交流戦前に、自信を取り戻せたことは大きい。

6月2日には、37歳になる。尊敬してやまない岩瀬の1002登板まで、あと202試合。試合後、ロッカールームで行われた祝杯の席で、BIGBOSSから「1002試合の岩瀬さんの記録があるから、そこまで投げろ。目指して頑張れ」と激励された。「やっと光が見えたというか、最悪なところは脱出したという感じ。まあ、こっからですよ」。ホールド数など、数々の日本記録を持つ現役最強リリーバーのシーズンが、ようやく“開幕”した。【中島宙恵】

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