楽天田中将大投手(33)がオリックス山本との投げ合いを制し、今季5勝目を挙げた。自己ワーストタイの6連敗中だったが、7回3安打無失点の力投で、5月10日ロッテ戦以来となる日米通算186勝目。チームの連敗を5で止めるとともに、負けたら貯金0の危機から救う価値ある1勝。もがき苦しんでいたマー君に、ようやく笑顔が戻った。

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試合終了の瞬間、田中将がやっと表情を緩めた。ようやくつかんだ8戦ぶりの白星。お立ち台で「苦しい時間を過ごしていた中でも、これだけ『田中』と書いてるタオルを持ってくださってて。ゲーム前にその景色を見てありがたいなと思って、もっと頑張らなあかんなと思ってマウンドに上がりました」と感謝した。

試合中は打者をにらみつけ、マウンドで仁王立ちした。5回に4点の援護をもらっても顔つきは変わらず、ストライクゾーンギリギリを攻め続けた。全107球のうち直球は45球、スライダーは34球。横に曲がる変化球を有効に使い、丁寧にコースを突く。150キロ台の快速球を連発する山本とは対照的に、円熟の投球を繰り広げた。「(投げ合うのに)楽しみな投手であるというのは間違いない。ボールをしっかりと操れているという意識があったので、どんなカウントになっても慌てなかった」と自信を持って投げ込んだ。

ファンになかなか勝利を届けられず、フラストレーションがたまる日々を送った。SNS上で心無い言葉をかけられることもあった。気にしないようにしていても、モヤモヤしてしまう部分もある。12日にはTwitterで「実際にはポジティブで前向きな声をかけてくれる人達の方が多い。そこを忘れずに、そういう方々のためにも僕は頑張りたい!」と思いの丈を明かした。「職種とか境遇が違っても、こういう考えを僕はしていますと言いたかっただけ」。どんなときも前向きに-。連敗中も悔しさを押し殺し、チーム内では気丈に振る舞い続けた。

応援してくれるファンがいる。家族がいる。「そういう人たちに笑顔になってもらいたい。一緒になって喜んでもらいたいという気持ちがある。何回転んでも立ち上がろうと思っています」。チームにとっても自身にとっても、待ちに待った1勝だ。【湯本勝大】

▽楽天石井GM兼監督(連敗が6で止まり)「苦しい時こそ、いっぱい起こるのがシーズンだし、チームに逆境がくることがシーズンだと思う。みんなが前を向いてやってくれれば、結果は出てくると思います」

▽楽天浅村(5回1死一、二塁から右翼席へ15号3ラン)「(田中将に)勝ち星をつけてあげられなくて、僕たちにも責任がある。今日は援護点を取れて良かったです」

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