日本ハム近藤健介外野手(29)が8日、今季取得した海外フリーエージェント(FA)権を行使する意思を球団に伝えた。

同日、球団もFA申請書類をNPBへ提出。侍ジャパンで活動中の近藤は「もっと考える時間と材料が必要だと判断」と、球団を通じてコメントした。今後は西武、ソフトバンク、オリックス、ロッテと複数球団による大争奪戦に発展するもよう。日本ハムも過去に例を見ない大型契約を提示して残留交渉を続けていく予定だ。

   ◇   ◇   ◇

近藤が悩み抜く覚悟を決めた。申請期限前日となった8日に権利行使を球団に伝え、申請書類が球団からNPBへ提出された。近藤は球団を通じて、FA宣言に至った理由を説明した。

近藤 ファイターズからは温かいお言葉を幾度となくかけていただき、ありがたいオファーも提示していただきました。レギュラーシーズンが終わり、侍ジャパンに向けて集中する中で、もっと考える時間と材料が必要だと判断し、この決断に至りました。

10月2日の公式戦終了後からの約1カ月間で日本ハムとは残留交渉も重ねた。「素直に他の球団が評価してくれていることも気になりますし、もちろんファイターズには愛着がありますし…」。侍ジャパンでの活動も控えた「落ち着いている感じがしない」という慌ただしい時間で大きな結論は出さず、自ら勝ち取った権利行使で自身の未来の可能性を広げた。

今後は、今オフのFA市場の目玉の1人として大争奪戦が繰り広げられる。宣言に備えて獲得調査を進めていた西武、ソフトバンク、オリックス、ロッテと複数球団からラブコールが送られる。かねて、最終決断する材料の1つとして「必要としてくれているチームの勝ちに貢献できるようにはしたい」と話していた。宣言残留を認めている日本ハムは過去に例を見ない大型契約を提示しているとみられ、今後も残留交渉を続けていく予定だ。

10月23日には2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で本音も明かしていた。

近藤 まさか(FA権)を取って悩む選手になるとは思っていなかった。僕が2年目の時(13年オフ)に(FAで)ソフトバンクに行った鶴岡さんに「人ごとじゃなく、すぐ来るから」って言われたのを鮮明に覚えている。来たか…みたいな、そんな感じです。人ごとだと思っていたのが、自分のことになった。

移籍か、残留か-。球界屈指の好打者が最良の決断を模索するため、FA戦線に飛び出した。【木下大輔】

◆近藤健介(こんどう・けんすけ)1993年(平5)8月9日生まれ、千葉県出身。横浜では3年時に甲子園へ捕手として春夏連続出場。11年ドラフト4位で日本ハム入団。12年には日本シリーズに、球団初の高卒新人野手として出場。17年に規定打席不足ながら記録した打率4割1分3厘は、100打席以上の選手では球界最高。19、20年には最高出塁率のタイトルを獲得。18、20、21年ベストナイン。通算1014試合、1016安打、52本塁打、446打点。打率3割7厘。171センチ、86キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は2億5500万円。

○…近藤が“本拠地ラストマッチ”で躍動することを誓った。札幌ドームで全体練習に参加。今季限りで日本ハムの本拠地としての役目を終えた同球場が舞台となる2試合へ向けて「札幌ドームでやるのも最後なんで、しっかりと代表の自覚を持って、いいプレーが届けられたら」と意気込んだ。同時に栗山監督に「(来春のWBC)本戦に選ばれるようにアピールしたい」と力強く話した。