日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

    ◇   ◇   ◇ 

阪神がリーグ優勝を決めてから、約1カ月が過ぎようとしている。オリックスが3年連続Vを達成して約3週間。日本一決戦どころか、クライマックスシリーズ(CS)すら始まっていないのが実情だ。

海の向こうのメジャーリーグはとうにレギュラーシーズンを終え、その熱気を保ったままポストシーズンのまっただ中だ。WBCで世界一を遂げたといっても、日本の野球界は本場のアメリカに追いついていない。

しかも、阪神は2位広島に11・5ゲーム差、オリックスも大差でゴールインしたのに、日本シリーズに出場できない可能性もある。ペナントレースの“重み”は軽視されていると指摘されても仕方がない。

パ・リーグの順位が最終戦までもつれたように、CS開催で消化試合を減らし、観客動員を維持する目的は果たしている。しかしこの間延び感とともに、大きくゲーム差が開いたCSは改正されるべきだ。

元をたどれば、04年の「球界再編」の流れに沿って導入されたのがCSだった。観客動員も減少傾向、視聴率も低下していた。「ポストシーズン」と銘打ったパ・リーグのイベントにセ・リーグが追随した。

当時の取材メモによるとセ・リーグ幹部からの「パ・リーグと同じまねなどやってられるか!」と反発した意見もあったが、ポストシーズン試合検討委員会を立ち上げて紆余(うよ)曲折の末に導入に至った。

そしてパ・リーグ会長の小池唯夫も「セ・リーグとの共同歩調には柔軟に対応したい」と両リーグが同じルールでCS開催が決まった経緯がある。しかし、一定の成果は認めるが、問題は顕在化している。

CS改正の具体案は、いくらでも出ているので避けるが、棚上げされ続けているのは問題だ。消化試合が減って「ファンが盛り上がっているから」という理由だけで放置されているなら、経営者の“エゴ”でしかない。

当時、読売新聞グループ本社会長・巨人軍会長だった渡辺恒雄も(現読売新聞グループ本社代表取締役主筆)も、パ・リーグで大差のついたプレーオフを疑問視し、さらに知恵を出し合うべきと論じたはずだ。

阪神SD職(オーナー付シニアディレクター)などを務めた星野仙一も「大リーグのような制度を構築すべき」と訴え続けた。だが各球団がフロントの入れ替わり、コロナ禍などもあって現状打破に踏み切らないでいる。

プロ野球界が危機感をつのらせたあの時代を経験していれば、現状に甘んじていることはできないはずだ。心ある球団フロントマンが声を上げ、これからCSを含めたポストシーズン改革に乗り出すものと信じたい。(敬称略)