魔球復活だ!阪神湯浅京己投手(24)が30日、沖縄・宜野座での先乗り合同自主トレで初めてブルペン入りした。変化球を交えながら全25球。特に直球は受けた坂本誠志郎捕手(30)から「エグい」と声が飛んだ。元々持ち味としていた「真ッスラしながら浮き上がる」球質に、自身でも好調を実感。オフに手にした新フォームも試し、万全の状態で2月1日からの春季キャンプに臨む。
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湯浅の投げた17球目だ。捕手を務めた坂本の声が室内に響いた。
「なに今の。エグい!」
先乗り合同自主トレ2日目で初ブルペン。変化球も交えながら全25球を投げ、自身も「去年より感触良く投げられている」と手応え十分。特に女房役をうならせた直球は、好調のバロメーターを感じ取っていた。
「真っスラ気味の伸び。ホップしながら真っスラしていく時は、一番いいボールが行っている」
若干スライダー気味に動きながら、浮き上がるような球質。元々持ち味としていたが、昨季は左脇腹の筋挫傷などの故障でシュート成分の増加を感じていたという。
「日本シリーズくらいには戻っていましたけど。もっともっと感覚よく投げられると思うので、そこは上を目指しながらやれたら」
まさに完全復活を証明する「魔球」に、さらなる磨きをかけていく。
今オフは米国に渡り、施設での動作解析を敢行。上げた左足を止めず、テイクバックもコンパクトな形に作りかえた。タイミングやマウンドの感触を確かめながら、新フォームでの投球練習。「(坂本さんが)『エグい』と言ってくれたくらいから下半身が使えてきた感じはあった。そこは投げた感覚と受けている感覚が一致していたと思う」。 縦スライダーやフォーク、カットボールなど変化球も一通り投球。新たな握り方も試し、終了時には「捕っている感覚を聞きたかった」と坂本とのブラッシュアップも行っていた。
2月1日からは、いよいよ1軍春季キャンプが開始。「全然問題なくいけます」と100%でのスタートに胸を張った。今後は状態を確認しながらブルペン入りし、2月11、12日の紅白戦に照準を合わせていく予定。
「フォームを変えて、バッターの反応とかも見たい。どういう反応するかで今後のフォームも、また変わってくる。いろいろ感じながらやれれば」
オフでの収穫は十分。岡田監督が「新戦力と思っている」という男が、進化した姿で守護神の奪回を目指す。【波部俊之介】
▽阪神湯浅の経過
▼22年11月 プロ4年目で「8回の男」に定着。チームトップの59試合に登板し、リーグトップ43ホールド、45ホールドを挙げ最優秀中継ぎ賞、新人特別賞を受賞。
▼23年3月 WBCで世界一に貢献。
▼4月16日 開幕1軍も右前腕の張りで出場選手登録抹消。
▼7月10日 右前腕筋挫傷で、ファン投票で選出されていた球宴の出場を辞退
▼7月30日 2軍広島戦で左脇腹を負傷。
▼10月1日 2軍広島戦で実戦復帰し1回無失点。
▼10月31日 1軍合流。みやざきフェニックス・リーグでは5試合無失点。
▼11月1日 日本シリーズ第4戦、同点の8回2死一、三塁で登板しオリックス中川を1球で二飛に。チームは9回にサヨナラ勝ち。第5戦も2点を追う8回に登板し3者凡退で無失点。直後にチームは逆転。
◆阪神ブルペン事情 昨季セーブ王を獲得した岩崎を中心に、左腕は岩貞や桐敷、島本、及川らがそろう。右腕でも加治屋、石井、岡留、浜地らに加えて、昨季故障で長期離脱となった湯浅も復活。守護神への返り咲きを狙う。ドラフト2位椎葉剛投手(21=四国IL・徳島)や新外国人のゲラ、現役ドラフトでオリックスから獲得した漆原など、新戦力も加入。より層の厚さを増した強力リリーフ陣となった。
○…坂本は湯浅の投球を「後半は球が強くなったし、いいなと思うボールはあった。でもまだ良いボールと悪いボールの差もあるし、本人もそれを感じながら一番いい物を見つけたいと思っていると思う」と振り返った。投球後の会話ではフォームやタイミングなどについて、捕手目線で助言。「本人が思っていることがちょっとでも一致したら修正しやすかったり、直すきっかけにもなるので」と意図を明かした。
○…阪神の8選手が30日、キャンプ地沖縄県内の学校を訪問し、子どもたちと交流した。宜野座村立宜野座中学校には中野や村上ら4選手、うるま市立川崎小学校には湯浅、小幡ら4選手が訪れ、質問コーナーやじゃんけん大会で盛り上がった。中野は「楽しそうに喜んでくれたので、元気をもらって、また頑張ろうという気持ちになっているのでとてもいい機会をいただいたなと思います」と笑顔だった。