「カントクとともに-」。巨人の新監督に就任した松井秀喜氏(52)が巨人終身名誉監督の故長嶋茂雄氏とともに闘う。昨年6月3日に89歳でこの世を去った心の師。悩み抜いた末に、待ち焦がれてくれていた指揮官の座に就任した。第21代監督が選んだ背番号は「90」。2人の絆を示す数字を背負い、今季はリーグ2位で終えたチームを率い、15年ぶりの日本一を目指す。

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身を包んだ。師に決意を伝え、そばにいてほしい。その思いで、1着のスーツを選んだ。

松井氏「やっぱり、常にね、自分の近くに監督がいると言う気持ちでね、日々過ごしたいなと思ってます。今日はスタートなんで、監督も『着てるか』と思ってんじゃないですか。」

にこやかに、その存在を感じていた。「カントク」。いまも長嶋氏をそう呼ぶ。自身の「カントク」就任の日。13年にともに国民栄誉賞を受賞した際、おそろいで着たスーツを選んだ。

選手を引退して、14年がたった。「『遅いよ』じゃないですか」とほほえんだ。「誰よりもこの瞬間を楽しみにしてくださっていた。ただいつまでも楽しみにしてもらって、それを生きがいにして元気にしてほしいという気持ちも反面、ありました」。長く、長く、そばにいたかった。

92年のドラフト。長嶋さんがくじを引き当てた。入団後、4番1000日計画として寮での素振りの直接指導が始まった。昨年6月3日、この世を去った。訃報を米国で聞き、4日午前5時、長嶋宅で2人だけの時間を過ごした。「生前、約束したことがあります」と明かした。

この日、あらためて問われた。「自分の発言によって臆測が飛び、当時のチームにすごい迷惑かけた。私の中では自主撤回しておりまして…」と反省。のち、「皆さん、ご自由に考察してください。これが答えかもしれないし、答えじゃないかもしれない。私と長嶋さんだけのものだったという所に戻っております」と心の奥にしまい直した。

グラウンドでの1着にも、ミスターがいる。ユニホームの背番号は「90」。長嶋監督が第1次政権の時に着けていた番号だ。選手引退直後、6年間で日本一はなし。「大きな情熱で若い選手たちと向き合ったと思っております。その気持ちを継いでいきたい」。

さらに。「今年90歳の年です。その年に90番。(また)私の現役時代の番号は55番でありました。で、現役最後の時代、35番をつけていた。足すと90。新たなスタートを切るには一番ふさわしい」と選んだ。

継承者。期待は誰よりも理解する。ただ、はっきり言った。「私は長嶋茂雄にはなれません」。師の偉大さを知るからこそ、「自分のできることに集中して」と肝に銘じた。そして、何よりも師が求めたものも知っている。「1軍の監督をやっての目標は、セ・リーグ優勝と日本一じゃないと。歴史上、変わったこともないんじゃないですか」。

巨人に根付く勝者の伝統。「近くに監督がいる」。ずっと2人で、勝利をつかみにいく。【阿部健吾】

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