「縦割れの五右衛門」が、WBC球を完全制御した。石川が今季の実戦初マウンドで、最大の武器を合格点以上に操った。最初のイニングとなった5回は無死一塁からベース板の上で沈む得意のシンカーで2者連続空振り三振。6回も同様にバットに空を切らせた。「思い通りまではいかないけど、ある程度は」。自己評価は厳しいが、本来の切れ味だった。

 大きな不安を取り除いた。宮崎合宿初日の2月23日のブルペン投球では、シンカーの制球に苦労した。国際試合で有効とされるフォークやシンカーなどの縦の変化だが、扱い慣れないボールで意のままに操るのは難しい。小久保監督も「制御が難しく、抜けてしまうと危険なボールになる」と心配していたが見事に攻略。試合後は「何といっても菅野と石川は、いいピッチングをした」と、頼もしい姿に目を細めた。

 3回3安打1失点、6奪三振。伝家の宝刀は「本当にいいバッターが来たら、振らないと思う」と、さらなる精度を求める。タイプは第2回WBCで大活躍した岩隈と似る。世界で通用することが証明されている縦割れ変化球。現在の日本球界でNO・1の使い手は、1次ラウンド初戦の7日キューバ戦に先発する。WBC球の壁を乗り越え、世界一の絶景へ向かう道を切り開いた。【木下大輔】