ちょっとした不安は、まさに杞憂(きゆう)に終わった。3階級王者の井岡一翔(27=井岡)が7月20日に臨んだ、WBA世界フライ級王座3度目の防衛戦。同級6位キービン・ララ(21=ニカラグア)を11回1分11秒KOで撃破した。長谷川穂積らに並ぶ日本歴代2位の世界戦12勝目を挙げた。
「不安」は、井岡のモチベーションだった。WBA同級スーパー王者でWBO同級王者でもあるフアンフランシスコ・エストラダ(26=メキシコ)との統一戦を“第1希望”にしていた井岡だったが、対戦相手は18連勝中とはいえ世界初挑戦の新鋭ララ。ビッグマッチを望んでいた王者の希望がかなわず、格下と見られる相手と対戦することで、最も心配だったのは「モチベーション」だ。
前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志は、WBA世界フェザー級スーパー王者だったニコラス・ウオータース(ジャマイカ)との対決を熱望しながら、結局4月に暫定王者コラレスと対戦し、まさかのKO負けを喫して12度目の防衛に失敗した。WBC世界バンタム級王者の山中慎介も、3月の10度目防衛戦では同級3位ソリスに2度ダウンを奪われ、一瞬冷や汗をかいた。
果たして、井岡のモチベーションはどうなのか。V3戦前に質問をぶつけると、記者の不安を一蹴するような力強い答えが返ってきた。
「モチベーションが低いとか低くないとか、僕にしたらどうでもいい。僕はボクシングの強さを求めてやってる。世界戦ができることが、最低限のやりがい。そりゃ、それ以上の試合が決まったらうれしいけど、僕にはマンネリがないんですよ。次の試合がいつもと同じ世界戦やからとか、モチベーション上がらないとか、そんなん言い訳なんで。僕のために用意された舞台やねんから、そこで強さを証明するだけなんで。モチベーションという言葉がおかしいと思う、オレは」。
その言葉通り、井岡は2戦連続KOで強さを示した。陣営は次戦、エストラダとの統一戦を目指している。開催地や開催時期、ファイトマネーなど交渉は簡単ではなく、実現するかどうかはまだ不透明だ。仮に実現しなくても井岡のメンタルに影響はなさそうだが、さらに強い井岡の姿を頂上決戦で見てみたい。【木村有三】

