元プロレスラー大向美智子(49)の長女・心希(しんの、16)が、デビュー戦に臨み、敗れはしたものの、母親譲りの堂々としたパフォーマンスで会場を魅了した。デビュー戦の相手に選んだのは、桜井麻衣。なんとあこがれの現ユナイテッドナショナル王者だった。激しい攻防を繰り広げ、出血しながらも最後まで真っ向勝負を挑み続けたが、最後はフェイスロック(STF)で顔面を締め上げられ、ギブアップとなった。

「JKレスラーが華やかにデビュー」…ではなかった。だんだん大きくなる「心希~!」の声援を背に、流血しながらも何度も立ち上がり、桜井をにらみつけた。敗戦後、桜井に抱きかかえられバックステージに現れると、涙をぬぐいながら「悔しい。自分らしいパフォーマンスをもっと出していきたい」と語った。

母であり、コーチであり、プロレスラーの先輩である大向がリングサイドの解説席で見守る中、ゴング直後から仕掛けた。いきなり桜井を抱えて裏投げ。大きな雄たけびを上げ、ガッツポーズ。「声が小さい」ことが課題だったが、ボイストレーニングなどで克服し、結果を出した。その後は王者の洗礼を受け、防戦一方も母と「練習してきた」という受け身で必死に耐え続けた。なかなか3カウントが決まらない状況に桜井が苦笑いの場面も。終盤には飯伏幸太直伝のカミゴエを顔面にさく裂させるなど、王者をあと1歩まで追い詰めたが最後に力尽きた。

試合後に母からは「今日はコーチとして試合を見ていた。練習してきたものも出せたので100点」とお褒めの言葉。傷だらけの顔で少しだけ笑顔を見せ「うれしい」と語った。

自宅のある山口県の高校に在学中。普段はダンス部の部活後に車で2時間かけ地元の道場へ。帰宅が深夜になることもあるという。休みの日に上京しマリーゴールドの練習に参加。ハードな状況をクリアし、デビューにつなげた。小さいころはどちらかと言えば、おとなしく母親思いの優しい子だった心希が、ダンスや空手を学ぶにつれて家族も「びっくり」するほど元気なレスラーに様変わりした。

12分33秒で決着。短い時間の中で、リングを駆け回り、練習してきたものを出し切った。「母や(桜井)麻衣さんのような強いレスラーになりたい」。この日流した汗と血と涙を勝利と笑顔に変え、レジェンドレスラーの道を1歩ずつ歩んでいく。【松熊洋介】

◆心希(しんの) 2008年(平20)12月5日、山口県生まれ。高校ではダンス部に所属。現在は空手も練習中。24年1月大向の復帰戦の姿を見て、プロレスラーにあこがれる。同年7月にマリーゴールド入団。163センチ、48キロ。