稀勢の里(29=田子ノ浦)が綱とりに挑む琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)との大関対決を制し、全勝を守った。武蔵丸-貴ノ浪戦を抜く幕内単独最多59度目の対戦は、立ち合いで頭からぶつかると素早く右に動いて突き落とし。わずか0秒7で9勝目を挙げ「当たってから、(体が)反応してくれた。いい場所のおっつけだったんで、いい攻めでした」と振り返った。

 一瞬の勝負に、熱戦を期待していた満員札止めの館内からはどよめきが起こったが、「結果、ああなった」。これまで勝敗にかかわらず真っ向勝負を貫いてきたが、勝負に徹し、逆に冷静な判断が光る形となった。

 10日目には鶴竜(30=井筒)戦が組まれ、横綱戦が始まる。「これからです。1日1日、集中して。体の反応は良くなっている」。悲願の初優勝へ、さらにギアを上げていく。