「完全アウェー」の劣勢を覆し、東前頭5枚目のベテラン豪風(37=尾車)が、西前頭4枚目の遠藤(26=追手風)を破り白星スタート切った。

 相手は新三役を狙う人気力士で、取組前から遠藤への熱い声援が送られていた。そんな中、立ち合いで遠藤に踏み込まれ土俵際にズルズル後退しながら、ヒラリと体を開き右から突き落とした。相撲で負けて勝負に勝った-ように見えた一番だったが、相手に押し込まれながら絶妙な間合いを取り一瞬で勝負を決めた、相撲のうまさが光った。

 ベテランの意地ともいえる勝利にも「半年もしたら38歳になるけど、それがどうしたという感じ。世間に出たら、38歳なんか若いから」とサラリと言い放った。

 この一番は、幕内後半戦の最初の相撲で、ここから天覧相撲になった。豪風にとっては7年ぶりの天覧相撲だが、04年初場所中日の北勝力戦を皮切りに、過去4戦はいずれも負けていた。これが記念すべき「天覧相撲初勝利」になり「その間に、やめている力士もいるわけで、長くやっていないとね」と息の長さを実感。ただし「デスクワークとは違う。勝負だから長くできるものではない。格闘技ですから」とプライドもにじませていた。