日本相撲協会は1日、大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表。新入幕を果たした阿武咲(20=阿武松)は、千葉・習志野市内にある阿武松部屋で、師匠の阿武松親方(55=元関脇益荒雄)同席の元、記者会見に臨んだ。

 タイトル2つを獲得した青森・三本木農高を1年生の冬に中退し入門。13年初場所の初土俵から約4年半での新入幕を果たした。定評通りのスピード出世だが、昭和以降では10位のスピードとなる初土俵から2年で新十両昇進を果たして以降、入幕まで約2年を要したことから「うれしい気持ちと『ここからだ』の気持ちが強い」と話す一方で「(この2年は)長かった気がする。自分自身の甘さ、相撲に対する考え方が足りなかった」と、物足りなさも口にした。

 早く出世を-の気持ちが強すぎるあまり「勝ちたいという闘志が強いために、思い切りさやスムーズさがなく、白星を積み重ねるのに苦労した」と阿武松親方。「今となればいい経験。心の波打つところが少し小さくなって白星が増えた」と師匠の阿武松親方は今後に期待した。

 誰と対戦したいか、の問いに阿武咲は「稀勢の里関と早く相撲が取れるところに行きたい」と即答。巡業では、ぶつかり稽古で胸を出してもらったり、時に声をかけられたりもした。「その恩返しを土俵でしたい。(稀勢の里のような)かっこいい男になりたい」と、春場所千秋楽で奇跡の逆転優勝を果たした稀勢の里を目標にした。

 これに対し阿武松親方も「たった一番でもいい。稀勢の里の(春場所千秋楽の)あんなすごい相撲を取れるような力士になってほしい」と熱弁。将来的な、しこ名の益荒雄継承についても「本人が良ければ、いつでもいいですよ」と目を細めた。そんな師匠の後押しもあり、阿武咲は「(夏場所は)2ケタは勝ちます。土俵に上がったら勝つか負けるか。そこは男として勝ちにこだわります」と頼もしく言い放っていた。