大相撲夏場所(13日初日、東京・両国国技館)の新弟子検査が8日、両国国技館で行われ、元関脇黒姫山の孫の田中虎之介(16=境川)ら受検した12人全員が、身長167センチ、体重67キロ以上の体格基準を満たした。

 田中は、16年の全国都道府県中学生選手権個人無差別級を制した逸材で、身長183センチ、体重120キロで体格基準をパス。元幕下羽黒洋を父に持ち相撲一家で育った田中にとって、角界入りは必然のようにも思えたが、挫折を乗り越えて今回の新弟子検査を受けていた。

 2年に上がる前の3月に、強豪の新潟・海洋高を中退。2月の稽古中に左目の網膜剥離を患った。手術を受けて入院した際に「ゆっくり考えた時に、高校を中退して角界入りしようと思った。夢だった大相撲で活躍したかった」と決意。元幕下の父からは当初、角界入りを反対されたというが熱い気持ちで押し切った。

 祖父からのアドバイスは「四股、てっぽう、基本をやれと言われた」とシンプル。だが蒸気機関車の代名詞でもある「デゴイチ」との異名をとられた電車道で押し出す祖父の姿は、映像で見たことがあるといい「知っていました。かましの相撲がすごい」と目を輝かせた。自身も押し相撲だといい、「基本をやって頑張るだけ。祖父を越えていきたい」と意気込んだ。

 元黒姫山の養父は元関脇北の洋で、検査に合格すれば親子4代力士となる。合格者は内臓検査などの結果を待ち、初日に発表される。