休場した栃ノ心も含め3大関は、ふがいない思いだろう。高安にしても豪栄道にしても自分を見失ったような相撲だ。

歯車がかみ合わない精神的な要因の1つとして、目に見えない「稀勢の里ロス」と言うか、自分たちが目指す横綱が土俵からいなくなったこともあると思う。学生相撲出身の私事で恐縮だが、自分が現役だった時、まず倒したいと思ったのは、絶対王者的な存在の北の湖さんより、横綱として学生の頂点を極めた輪島さんだった。みんなの、あこがれだったからだ。

同じように日本人横綱として稀勢の里は、高安にも豪栄道にも、あこがれの存在だったと思う。特に弟弟子の高安は、もろに影響を受けたのではないか。ただ、そんな人情論を言っている場合ではない。終盤には必ず白鵬との対戦がある。横綱は守る地位だが、大関までは挑戦者の立場だ。何とか立て直して、さすがと思わせる横綱戦にしてほしい。それが大関のプライドというものだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)