元幕下若信夫で、若隆景の父大波政志さん(59)は、文子夫人とともに急きょ、福島市の自宅から車を運転して上京、両国国技館で観戦した。若隆景ら3兄弟の祖父で、政志さんにとっては義父の元小結のしこ名「若葉山」の店名で、福島市内で営む相撲料理店は「こうなるかもなって思って」と、期待も込めて数日前から予告する形で臨時休業。前夜の午後8時ごろに座席を用意したとの連絡を受けて駆けつけ「相撲内容がすばらしかった」と、喜びをかみしめた。
最初に優勝した22年春場所は、日本相撲協会が新型コロナウイルスのガイドラインを厳しく設定していたことや、大阪開催だったことなどもあり、現地で観戦することはできなかった。それだけに、初めて息子の優勝を生観戦し「感動しましたね」と、率直に語った。「ケガしたり、大関とりに失敗したり、いろいろありましたけど、常に上を目指して、気持ちで頑張っていたので、頼もしかった。下を向くことが一切なかった。『絶対に勝ってやる』という気持ちで4年間やっていた」と、気持ちの強さに敬意を表していた。
特に23年春場所で、右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂しても「性格的に、負けて終わる性格ではないので、絶対に戻って来ると思っていました。とにかく真面目」と、再び優勝する、この日が来ることを信じていた。
三役で2場所連続2桁白星を挙げた後、大関とりだった昨年秋場所を6勝9敗と負け越した。目指し続けている地位への挑戦が振り出しに戻った当時を振り返り、政志さんは「はらわたが煮えくり返るほど悔しかったでしょうし、慌ててケガもした。言葉にならないぐらい悔しかったでしょう」と、本人の内心を代弁。それだけに、支度部屋で後援者らとともにバンザイの写真を撮影した際は、自然と飛び切りの笑顔になっていた。

