大相撲の元十両勇磨が6日、東京・両国国技館で断髪式に臨み、12年間の相撲人生に別れを告げた。あいさつでは「心が折れなかったと言えばうそになります」と苦闘の日々を振り返りながら、支えてくれた母や後援者への感謝を表明。「礼儀、感謝、継続することの大切さ、そして人とのつながり」を糧に、第二の人生へ踏み出す決意を示した。

あいさつ全文は以下の通り。

本日はお忙しい中、わたくし勇磨の断髪式にお越しくださり、誠にありがとうございます。

こうして多くの皆様に見守られながらこの日を迎えられたことを、心からうれしく思います。

私は大阪府枚方市で育ち、小学5年生の時に相撲を始め、15歳で親元を離れ、阿武松部屋へ入門しました。

相撲の世界は厳しく、毎日必死にもがいた12年間でした。

それでも続けられたのは、多くの皆様の支えがあったからです。

相撲を始めた頃は、まさか自分が十両まで上がり、国技館で断髪式を行う日が来るとは夢にも思っていませんでした。

女手ひとつで男3兄弟を育てながら、私の相撲人生を支えてくれた母には心から感謝しております。

心配や苦労もたくさんかけましたが、今日まで応援し続けてくれて、本当にありがとうございます。

私の相撲人生は決して順風満帆ではありませんでした。

大きなけがで番付外まで落ち、何度も手術やリハビリを経験しました。心が折れなかったと言えばうそになります。

それでも土俵に戻りたいという気持ちを持ち続け、稽古を重ね、遠回りをしましたが、十両昇進という夢をかなえることができました。

あの時の喜びは今でも忘れることができません。

しかし、十両昇進以上にうれしかったのは、自分のことのように喜んでくださる皆様がいたことです。

苦しい時は励ましてくれ、うれしい時は共に喜びを分かち合える皆様の存在が、私にとっての大きな支えであり、一番のかけがえのない宝物です。

12年間の力士人生の中で学んだことは、勝ち負けだけではありません。

礼儀、感謝、継続することの大切さ、そして人とのつながりです。

本日でまげに別れを告げますが、力士として過ごした日々への感謝を忘れず、これから始まる第二の人生も精いっぱい頑張っていきたいと思います。

最後になりますが、師匠をはじめ、部屋の皆様、後援会の皆様、家族、友人、そしてこれまで応援してくださった全ての皆様に心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

◆勇磨猛(ゆうま・たける=本名中尾勇磨)1998年(平10)6月13日生まれ、大阪府枚方市出身。阿武松部屋。小学5年生で相撲を始め、中学卒業後に角界入りし、14年春場所で初土俵を踏んだ。17年に左ひざ前十字靱帯断裂の大けがを負うなど苦しい時期もあったが、懸命なリハビリではい上がり、20年初場所で三段目優勝。22年秋場所では朝乃山を破り注目を集め、23年名古屋場所で入門から9年越しの新十両昇進を果たした。最高位は東十両13枚目。通算256勝208敗50休。178・5センチ、125・8キロ。