三塁コーチャーとして東京・日大二時代に甲子園に出場、明大にも進学した川島敏男さんとランナーコーチを深掘りしていく第2回。勝敗を左右するコーチャーだが、グラウンド上のコーチスボックスは2つ。なのに、川島さんは「コーチャーは何人いるか、何種類あると思いますか?」と切り出した。

 ベンチ入りするコーチではなく、走者を指示するコーチは…2人じゃないのか? 川島さんは「正解は5人、5種類と言った方がいいでしょう」と説明した。

【一塁コーチャー】一塁走者へのボールの位置などの指示、けん制の対応、最近はひじや足首の防具の受け取り、死球などの応急処置をする冷却スプレーの保持など多岐にわたる。

【三塁コーチャー】かつてプロ野球では監督やヘッドコーチらが立つほど、攻撃の起点となる。当連載でも、技術や知識など、今後深掘りしていく。

【ホームベースコーチ】次打者は本塁に向かう走者のために、けがの予防で打者が残したバットを移動させ、スライディングの有無や滑る方向などを指示。生還した走者がその役割を担ってもいい。暴投などバッテリーミスの際は、打者が暴投や捕逸で転がった場所によって、走者に進塁か止まるかを指示する。

こんなことがある。一塁から長打で一気に三塁を回った走者が三塁コーチャーを通り過ぎてから急にスピードを落とした。捕手が送球を受ける気配を見せず、立ったままでいたのを「送球は来ない」と勘違い。捕手の「フェイク」に引っかかり、アウトになった。次打者が送球を知らせていれば、防ぐことができた。

【ベンチコーチ】ベンチのメンバーが打者、走者、一・三塁コーチャーへのカウントの確認は必須。コーチャーや走者は確認事項が多く、プレーに興奮していることもある。「わかってるでしょう」ではなく、念を押す声で、われに返る選手もいる。一塁コーチャーが防具を預かるのに追われたり、審判が防具の受け取りをリクエストすることも多く、スムーズに攻撃に入るために、ベンチの目配りが大事。

【セルフコーチ】自分の中に、プレーを判断するコーチを置いておく。自分からボールが見えない位置の判断は、コーチャーに任せるが、見える範囲は自分で判断しないと、プレーが一瞬遅れる。「自分の中の行ける、行けないの感覚は常に養っておきたいですね」。この点は今後の連載の中でも触れていく。

次回は「三塁コーチャーの判断基準」です。【久我悟】

◆川島敏男(かわしま・としお)東京都杉並区出身。日大二中時代に肩のけがのため三塁コーチャーを志す。日大二高の2年夏に三塁コーチャーとして甲子園に出場。明大時代は2年連続大学選手権優勝を経験。昨年「三塁コーチャーバイブル」を出版した。