米映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」の12月公開に向けて、シリーズに関わった人たちを取材する機会が多い。
お化けのような作品だけに関わっているのも規格外の人ばかりだ。
声優の大平透(86)は78年日本公開の第1作ビデオ版でダース・ベイダーの声を演じて以来、3作続けて吹き替えを担当。新シリーズでも05年のエピソード3でシリーズ生みの親ジョージ・ルーカス氏(71)本人から指名を受け、再登板した。新旧両シリーズで同じキャラクターの声を担当したのはヨーダ役の故・永井一郎さんと二人きりだ。
56年のテレビシリーズ「スーパーマン」で注目され、70年代には「刑事コジャック」があった。「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造役を始めとするアニメ作品…数えればきりがない。だが、インタビューの際に一番驚かされたのは特撮ヒーロー作品「マグマ大使」(66年)のエピソードだった。
大平は敵役のゴアの声を担当したのだが、完璧主義が高じて自らゴアのスーツを着て演じてしまったのだという。
「最初はADの人がスーツに入っていたんですね。それがどうにも動きが悪い。ゴアに見えないんです。それなら『僕が入る』となったんです」
テレビ放送時、ゴアの人気は主役のマグマ大使を上回るほどだった。「確かに子どもたちに石をぶつけられたことがありましたから。悪役としては成功でしょう」と苦笑いした。
着ぐるみで演じるスーツアクターは、1回の収録でキロ単位の体重が減る重労働だ。自ら望んだこととはいえ、平然とこなしてしまった大平はやはりただ者ではない。顔の動きがないゴアはダース・ベイダーに通じるものもあったのだろう。
「表情の無いキャラクターをいかに表現するか。ゴアはいい勉強になったと思います」と振り返る。
そんな大平の「気合」を日本語のセリフで聞き分け、再登板の指名をしたのだからルーカス氏の目(耳)配りはやはり並外れている。
「作品は数少ないけれど、映画史に残る伝説を残してきたのがジョージです。だから、作品の隅々へのこだわりはたいへんなものなのです」と言ったのは、今回の最新シリーズを前にルーカスフィルムの共同経営者となったキャスリーン・ケネディさんだ。
サンディエゴ州立大学で映画製作を学んだケネディさんはテレビ局勤務を経て、79年、スティーブン・スピルバーグ監督の「1941」の製作に関わったのを皮切りに以降のスピルバーグ作品のほとんどをプロデュースしてきた。
「寡作のジョージに比べ、スティーブンはとにかくバラエティーに富んだ作品を手掛けていますよね。70年代前半から大親友の2人ですが、映画に対するアプローチは対照的です」
ハリウッドの二大巨頭を親しみを込めたファーストネームで呼んで、これほど自然に聞こえる人は他にいない、と思った。
夫はプロデューサーのフランク・マーシャル氏。キャリアからして還暦を超えているはずだが、50代にも40代にも見える。インタビューの最後に「お若いですね」と率直な感想を伝えると「スター・ウォーズを作っているからですよ」と相好を崩した。
「現代ハリウッドでもっとも成功したプロデューサー」と言われる彼女のパワーが、向こう5年間、最新シリーズ3部作の原動力のひとつになる。【相原斎】




