< 本日のごのへのごろく「塩分も 糖質とともに 気にしよう」>


 「今朝体重計乗ったら1キロも増えてた。太っちゃった、ショック…」なんて思ったことありませんか? 果たして、1日で体重が増えていたら、それは太ったということなのでしょうか? 増えた体重は、体脂肪なんでしょうか? 実はその体重、塩分と深い関わりがあるんです。今回は、ダイエット編第19回「ダイエットと塩分の関係」です。

イベント司会で休憩中の五戸美樹。ローソンの「ブランパン」はロカボに欠かせないアイテム(2017年9月、フジテレビ社屋にて)
イベント司会で休憩中の五戸美樹。ローソンの「ブランパン」はロカボに欠かせないアイテム(2017年9月、フジテレビ社屋にて)

 ■ロカボで毎日快適ダイエット■

 私五戸、ロカボ(注1)をはじめて9カ月ほどたちました。糖質だけ気をつければ、おなかいっぱい食べられる、おなかが空いたら食べていい、なんて快適なダイエットなんだろう、こんなに我慢しなくていいダイエットがかつてあっただろうかと、日々感じています。

 ■なぜ!?翌朝体重が増えている■

 一方で、少し気になることがありました。ロカボでいっぱい食べた日の夜や、次の日の朝、体重が増えていることがあったんです。排泄の前だから物理的に増えているだけかなぁ、とは思いつつも、太ってしまっていないか心配でした。そこで、このコラムでもおなじみ、ロカボの第一人者で、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生に聞いてみました。

五戸のランチの定番「いきなり!ステーキ」の「ワイルドステーキ」。ロカボの強い味方です。ただ今インフォマーシャル出演中(2017年9月)
五戸のランチの定番「いきなり!ステーキ」の「ワイルドステーキ」。ロカボの強い味方です。ただ今インフォマーシャル出演中(2017年9月)

 ■山田先生の答え「それは水分」■

 山田先生はずばり教えてくれました。「前の日から翌朝にかけて増える体重の多くは、水分です」そして「体に水分を蓄えるのは塩分です」とのこと。これはどういうことかというと…

 ■塩分濃度を保とうとする仕組み■

 人間の体は、一定の“塩分濃度”を保つ仕組みになっています。ちなみにその塩分濃度は、その昔、動物が海面から陸上に上がってきたときの、海水の塩分濃度と同じだと言われているそうです。動物たちは陸に上がってきたときに、「塩」を口に入れる機会があまりありませんでした。そこで、動物も人間も、基本的には「入った塩は捨てない」ような体の仕組みになっているそうなんです。

最近の自炊「ロカボオムライス」。ご飯を少なくしてチキンを多くしただけ。簡単です(2017年9月)
最近の自炊「ロカボオムライス」。ご飯を少なくしてチキンを多くしただけ。簡単です(2017年9月)

 ■塩分過剰だと水を蓄えてしまう■

 つまり、入った塩が多くなったときには、塩分濃度を保つために、水を蓄えざるを得ません。体内に水を蓄えて、塩分濃度を薄めるわけです。そうやって塩分濃度を薄めたとき、血管の容積が通常のときと同じだとすると、血圧が上がります。血圧が上がると、腎臓から強引に圧力をかけて、塩を捨てることができるようになるのです。だから、血圧が高い人は塩分摂取を増やしてはいけないんですね。

 体重の話に戻しますと…塩分摂取が多いと、塩分濃度を保つために、体内に水分を蓄えてしまう、だから翌日の朝の体重が増えている、ということです。ただこれは見かけ上で、健康な方なら基本的には、塩分摂取が落ち着くと、尿の量が少し増えて、体重は元に戻ります。

 ■増えた体重は元に戻るけれど■

 私はまさにこのパターンで、糖質だけ気をつけて、塩分を全く気にしていなかったので、翌日の体重が増えていることがあったんです。言われてみれば確かに、料理の下味から塩や醤油を多めに使っていました。

 太ってしまったわけではなかったので一安心。確かに、体脂肪が1日で1キロも増えるなんてことは考えにくいですよね。とはいえ、血圧を過剰に上昇させるのがいいわけありません。糖質制限とともに、減塩も気にしていきましょう! (次回ダイエット編は第20回「適切な塩分摂取とは」の予定です)

山田悟先生はいつもわかりやすく教えてくださいます
山田悟先生はいつもわかりやすく教えてくださいます

【五戸美樹】(日刊スポーツ・コム芸能コラム「第54回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)

 (注1)「ロカボ」は、“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、1日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限。目安はコンビニのおにぎり1個で糖質40g。

 【参考図書】山田悟先生の著書『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)。山田先生監修『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)。山田先生の新著書『90日で健康的にやせる! ゆるやかな糖質制限ダイアリー』(家の光協会)、『カロリー制限の大罪』(幻冬舎新書)。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。