先日、ある若手俳優に密着したドキュメンタリー番組を見ました。新しい試みに挑む姿を追ったもので、俳優の演技にかける熱い思いや素顔が垣間見えて、とても面白い番組でした。ただ、一つ、違和感を覚えたところがありました。俳優が車の中でインタビューに答えるシーンでした。俳優にとって、車でのドライブは唯一の息抜きで、車の中でセリフを覚えたりするなど、とても大切な場所ということでした。インタビューは俳優が後部座席に座って答えていると思い込んでいたのですが、カメラが前方を映し出すと、俳優の前にはハンドルがありました。運転しながら、インタビューに応じていたのです。
過去にも海外で活躍するスポーツ選手などのインタビューで、運転する車の中で受け答えする姿を何度も見ています。よくあるシーンではあるけれど、昨今は運転時に関する交通ルールが以前よりも厳しくなっています。自転車でさえ、さまざまな罰則規定が課される時代になっています。車の中での取材によって、運転に集中できずに事故を起こしてしまう可能性も否定できないでしょう。
昔からよくやられていた取材スタイルも、時代とともに変化してきています。芸能取材では以前は何かあると、当事者の自宅に押し掛けたものですが、最近は所属事務所から「自宅及び周辺での取材は遠慮してください」と要請され、自粛するケースも増えているようです。車中の取材とはいえ、もう見直してもいい時期ではないかと思うのは、私だけでしょうか。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)




