NHK大河ドラマ「真田丸」で、二枚舌の戦国武将・真田昌幸をコミカルに演じて再ブレークした草刈正雄が7年ぶりに映画主演する。定年退職したシングルファーザーがラジオ体操を通じて地域社会に“デビュー”する物語。主人公が二枚目すぎて、リアリティーがないのでは…。そこは心配ご無用。何事にも一生懸命だけど不器用で、ちょっとさえないオヤジ役がハマッている。

草刈演じる佐野道太郎(通称ミッチー)は老舗文具メーカーで38年間コツコツと働き、60歳の誕生日に総務部副部長で定年退職を迎える。妻に先立たれ18年、1人娘の弓子(木村文乃)と二人三脚で円満な家庭を営んできたつもりが、娘から「佐野家の新しい主夫はお父さん!」と宣言され悪戦苦闘。「初めての家事」にドギマギするシーンはおちゃめで笑える。

定年退職後、町内会や近隣住民にうまく溶け込めずに困っている人も少なくないのでは。主人公は偶然、ラジオ体操会に参加したことで、さまざまな世代の人々とかかわり、少しずつ自分の人生や娘との関係を見直していく。誰もが迎える第2の人生をどう歩むのか。ヒントがつまっている。【松浦隆司】

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