第90回米アカデミー賞の脚本賞を獲得した「ゲット・アウト」の監督、脚本を担当したジョーダン・ピール監督の第2作。前回に続くサスペンス・ホラーは、なんとも言えない「違和感」がひたひたと迫り、影のようにつきまとってくる。「ゲット-」は人種差別を題材にした異質ホラーだったが、今作は自分自身と向き合う恐怖がテーマだ。

1986年夏、米カリフォルニア州サンタクルーズ。子どもだったアデレードは、海岸沿いの遊園地で迷子になり、「ミラー・ハウス」で不思議な体験をする。大人になったアデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫と娘、息子と夏休みを過ごすため、故郷のサンタクルーズに帰ってくる。不気味な偶然に見舞われ、家の前に自分たちとうり二つの4人組が現れる。赤色の作業着を身にまとい、鋭利なハサミを手にする「わたしたち」がわたしたちを襲う。

ピール監督の本職はお笑い芸人である。各所に笑いのツボと、ひねりがあり、怖いのに突っ込みどころは満載だ。なぜ「わたしたち」がハサミにこだわるのか…。社会の裏面にある根深い問題への風刺も効いている。【松浦隆司】

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