17年のトランプ大統領就任式をきっかけに、ジョージ・オーウェルの古典SF「1984」がベストセラーとなる珍現象が起きた。作中の独裁国家による歴史改ざんが、意に沿わないことは何事もフェイクと言い切るトランプ氏に重なって見えたのだろう。現実のこの年はレーガン大統領が2期目の当選を決め、急速な軍拡によって米ソ両超大国間の緊張が高まっている。

人々の心理をゆがめる陰謀論と軍事的緊張。前作でナチスの毒ガス兵器を封じたヒロイン・ダイアナの前に立ちはだかるのは、そんな背景を映し、世界崩壊を導く「禁断の力」だ。

母国イスラエルの国防軍で戦闘トレーナーをしていたガル・ガドットは、今回も大ぶりなアクションに指の先まで説得力がある。無敵の「真実の投げ縄」で疾走する装甲車を吹っ飛ばす砂漠のチェイス。彼女のパワーを一段と増すゴールドアーマー(よろい)も登場して、前作からのグレードアップを実感させられる。謎の敵チーターとの格闘シーンは見たこともないようなアングルに工夫がある。

「モンスター」(03年)のパティ・ジェンキンズ監督。久々に「ハリウッド大作」を満喫できる1本だ。【相原斎】

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