劇中では仲野太賀が体当たりで演じているが、学生時代に遠藤ミチロウの過激パフォーマンスを話題にしたことをよく覚えている。半世紀近く前、英国発のパンクロック熱を競い合った数々のバンドの実話をベースにした作品だ。
カメラマンとして渦中に飛び込んだユーイチ(原作者・地引雄一氏)が語り部となって周りの個性の引き立て役となる。演じる銀杏BOYZ峯田和伸には、台湾公演で露出騒動を起こした過去があり、「唯一の常識人」を生粋のパンク後継者が演じているわけだ。時代を知る監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎コンビのシャレが効いている。
ユーイチが最初に意気投合するのがモモ(LIZARDモモヨ=若葉竜也)とサチ(ZELDAチホ=吉岡里帆)。SNS時代より直接的で熱い友情を実感させる好演だ。3人が自主制作盤を自ら包む場面から、当時の音楽の手作り感が伝わってくる。国内プレス盤より安価だった直輸入盤が、開封後に時折反り返ってしまったことを思い出した。
若い人は知らないバンドばかりと言うかもしれないが、当たり前となったインディーズやロック・フェスを始めたのは彼らなのだ。【相原斎】
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