AKB48グループ3代目総監督の向井地美音(22)が各界のリーダーから「リーダー論」を学ぶ新連載の第3回からは、ROLAND(27)に直撃します。このほど、ROLANDが経営する東京・新宿歌舞伎町のホストクラブ「THE CLUB」を訪問。ホストとしてNo・1を極め、実業家としても活躍。昨年発売の著書「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」も大ヒットの“ホスト界の帝王”が考える「リーダー論」に迫りました。【取材・構成=大友陽平】

ホスト界の帝王・ROLAND(左)を直撃しリーダー論を伝授されたAKB48向井地美音(撮影・鈴木正人)
ホスト界の帝王・ROLAND(左)を直撃しリーダー論を伝授されたAKB48向井地美音(撮影・鈴木正人)

向井地 今日はよろしくお願いします。向井地美音です。ちなみに…AKB48ってご存じですか?

ROLAND もちろん知ってますよ!

向井地 最近のAKBは…?

ROLAND すいません、最近はそこまで分からないんですけど…。

向井地 峯岸みなみさんとか、柏木由紀さんとか…。

ROLAND 知ってます! 学生の時とか、寮だったので、ポスターを飾ったりしてるやつもいました!

向井地 ありがとうございます。早速なんですが、ROLANDさんが従業員の方とかをまとめる時にはどんなことを意識されていますか?

ROLAND このテーブルは黒いじゃないですか? でも「お前ら、これは白いよな?」と言ったら、うちは「はい、白です!」っていうような環境なので…。

向井地  …。

ROLAND っていうのが、一般的なホスト業界としての回答なんですけど、僕はそんなことないですよ(笑い)

向井地 (笑い)

向井地美音にリーダーについて語るROLAND(撮影・鈴木正人)
向井地美音にリーダーについて語るROLAND(撮影・鈴木正人)

ROLAND マジメに答えますと…。今、向井地さんもリーダーをやられてるじゃないですか? 僕も経営者として、リーダーという立場ですけど、意識していることが二つあります。まずリーダーと2番手以降の違いって、99%を完璧にやっても、1%できなかったら、彼ら(部下)はその99%を評価するんじゃなくて、その1%を責めてくるということです。

例えばサブリーダーが99%できたら、すごいって言われるんです。ただ社長というのは常に100%でいないといけない。でも、100%の人なんていないんです。じゃあどうするのか? というと、100%であるための努力をしなくちゃいけない。逆に言うと、その1%を言われることを「何で理不尽なんだろう」とか「頑張ってるのに…」って思ってたらうまくいかないのかなと。なので、「リーダーは、その1%を責められるものなんだ」と意識を持っておくことが大事。今、すごく頑張っていて、95%とかいってるかもしれないけど…。

向井地 そこまではいってないかもしれないです…(苦笑い)。

ROLAND できたとして、人って95%完璧にこなせたら、まあまあ頑張ったなって思いません?

向井地 そうですよね!

ROLAND 僕も95%頑張ったら、自分をほめてあげたいんですよ。でも経営者なので責められる。だから、リーダーは責められるものと頭に入れておくことが大事で、それを必然と思うことですね。

向井地 1%を責められた経験があったんですか? 

ROLAND オープンしたての1カ月は、不安定な部分もあるし、店に来てそうじを毎日していたんです。でもある日、どうしても会食があって行けなかった。やむを得ないことなんですけど、周りは「毎日来るんじゃなかったっけ?」ってなったんです。俺からしたら100%やろうとして調整したのに…。だけど少しでも揚げ足をとられる。それがきっかけでした。

ROLANDを直撃したAKB48向井地美音(撮影・鈴木正人)
ROLANDを直撃したAKB48向井地美音(撮影・鈴木正人)

向井地 厳しい世界ですね…。私なんて、できないことがいっぱいあります。歌もダンスも1番ではないし、何なら得意といえる部類のものがあるのかもよく分からないくらいなので…。

ROLAND 大事なのは、100%であろうと努力することです。100%できることが正義ではないし、僕もできないことたくさんあります。例えば、僕はパソコンをいじれないんですよ。シャットダウンはうまいんですけど。

一同 (笑い)

ROLAND パソコンが触れないので、経理の仕事はできない。でも接客なら誰にも負けないとか、完璧な先輩像であるための努力はしているつもりです。ダンスも歌もトークも1番じゃなくても、1番になりたいという意思を誰よりも持って、100%に近づきたいという姿勢を誰より見せられればいいと思います。リーダーが1番頑張ってたら、その組織っていい組織じゃないですか。

どれだけ能力があっても、リーダーが努力しない集団はいい集団とは思わない。どれだけ情熱と根気を持ってチャレンジできるかで、能力の差はあまり関係ないと思います。もっと能力の高いリーダーは他にもいると思いますけど、頑張る姿勢だけは、どこの誰よりも負けない自信があります。1番になりたいという気持ちは、向井地さんにも負けないです。

向井地 勉強になります。

ROLAND リーダーとしてもう1つは大事なのは、「イエスマンを作りすぎないこと」です。部下たちは、上に気を使って言えないことも多くなりますよね。例えば「あの人ダンスずれてるけど、先輩だから言えない…」とか、上にいくほどイエスマンって増えてくるんです。

でもそれって、自分の成長を止めてしまうこと。だから社長になった時に最初に「俺が間違ってると思ったら、間違っていると言ってくれ」と言いました。指摘されたことに対して、嫌いになるとか、生意気だとかはないし、俺の成長を止めてしまうことだから、イエスマンにはなるな! と。Noが言えない人のYesって、価値がないじゃないですか?

向井地 確かに…。

ROLAND どんな髪形をしても「いいですね!」と言ってくれるより、「今回微妙ですね」と言ってくれた方が、その時はムッとするかもしれないけど、次に新しい髪形にしたときに同じの子から「今回の髪形めっちゃ好きです」と言われたらいいじゃないですか? しっかりNoが言える部下の方が優秀なんです。そういうことを伝えてあげることが大事なんじゃないかと思います。(つづく)

◆ROLAND(ローランド) 1992年(平4)7月27日、東京都生まれ。中学時代はJリーグ下部組織、高校時代は名門・帝京高で活躍するサッカー少年。大学入学早々に自主退学し、ホストの道へ。20歳の時に、当時の店舗の代表取締役に就任し、18年7月のバースデーイベントでは6000万円以上の売り上げを記録するなど“ホスト界の帝王”と呼ばれる。現在はホストクラブのオーナーをはじめ、美容品のプロデュースやアパレル事業などを手掛ける。昨年発売の著書「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」がヒット。