裁判が結審し、会見する「森友学園」の前理事長籠池泰典被告(右)妻諄子被告(2019年10月30日撮影)
裁判が結審し、会見する「森友学園」の前理事長籠池泰典被告(右)妻諄子被告(2019年10月30日撮影)

国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典(本名・康博)被告(66)と妻諄子(本名・真美)被告(62)の論告求刑公判を傍聴した帰宅途中でした。阪急電鉄・大阪梅田駅で乗客同士の整列乗車のトラブルを目撃しました。

午後10時すぎ、同駅のホームは多くの人で混雑していました。「謝れや!」。突然、怒号が飛びました。私のいた場所から改札方面へ1車両分の距離で、50代とみられる男性が肩を怒らせていました。「当たったやろ!」。「おまえが前にかがむからやろ!」。怒声を浴びせられていたのは同じく50代とみられる男性。2人は整列乗車し、電車を待っていました。その際、後列にいた男性がなにかの拍子で、前列にいた男性に身体の一部か、あるいは頭が当たったようです。2人の表情を見る限り、酔っぱらっているような雰囲気ではありません。

「謝れや!」。男性は何度も声を張り上げます。中肉中背の会社員風の男性でしたが、相手をねじ伏せようとするような高圧的な態度でした。後列の男性は、必死で理由を説明しているようでしたが、前列の男性は「謝れや!」の一点張り。急行した2人の駅員が割って入っても「謝れや!」は続きました。

電車が到着しました。満員の電車に揺られながら、籠池被告が閉廷後、会見で話した言葉を思い出していました。

「きょうの検事の方々は非常に居丈高な、裁判官を下に見下ろすような雰囲気を持っていた。裁判官を尊重しない、あの雰囲気というのは、いまの三権分立がなされていない日本の国家そのものを見ているような感じです。弁護士さんに対しても敬愛の念を持っていない。お互いが裁判所で雌雄を決する。相手を尊重して対応することは必要だと思う」

それぞれの立場がある中、おそらく籠池被告が言いたかったのは相手への「リスペクト」。前列の男性はただ単に、虫の居所が悪かったからだけかもしれません。それにしても、相手をひれ伏せさせようとする「謝れや!」の集中砲火は、ザラザラして嫌な感じでした。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)