「負けへんで 絶対ひっくり返したるっ」-。政府の緊急事態宣言の延長を受け、大阪・ミナミの繁華街、道頓堀周辺でも多くの飲食店が休業を延長しています。閑散とする道頓堀の飲食店や商店には、来店客に向け、休業を知らせるポスターが貼られています。「笑い」と「食」がちりばめられた休業告知ポスターは、見る人の笑いを誘います。

女性客が手に持つコテにアツアツのお好み焼きを乗せて、フッ~。いま、まさに口に運ぼうとする写真とともに

「『美味い』は、コロナに負けへん。」

お好み焼き店「千房」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
お好み焼き店「千房」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

お好み焼き店「千房 道頓堀ビル店」の店先に休業を知らせるポスターです。その横にも、もう1つ。お好み焼きがひっくり返される直前の写真とともに

「負けへんで 絶対ひっくり返したるっ」

お好み焼き店「千房」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
お好み焼き店「千房」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

「千房ホールディングス」の広報担当、小山佳昭さん(39)によると、道頓堀商店会の副会長を務める同社の中井貫二社長が「通り一遍の休業あいさつではなく、大阪の企業らしくユーモアがありながらも思いが伝わるポスターをつくろう」との呼び掛けに賛同した大阪・ミナミの店主らが「負けへんで」を合言葉にポスターを作りました。

串カツ店「串かつだるま 道頓堀店」は同店の独自ルール「ソースの2度漬け禁止」に掛けて

「負けへんで コロナの流行は禁止やで」

串カツ店「串かつだるま 道頓堀店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
串カツ店「串かつだるま 道頓堀店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

たこ焼き店「たこ家道頓堀くくる 本店」は、出来たてホヤホヤのたこ焼きをイメージして

「負けへんで アツアツ魂でスグに復活!」

たこ焼き店「たこ家道頓堀くくる 本店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
たこ焼き店「たこ家道頓堀くくる 本店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

たこ焼き店「踊りだこ道頓堀店」は俳句調に挑戦しています。

「負けへんで!! 心踊る♪ そんな明日が 待ってるで」

たこ焼き店「踊りだこ道頓堀店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
たこ焼き店「踊りだこ道頓堀店」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

イタリアン肉バル「デル・ソーレ道頓堀」は牛の鳴き声にひっかけて

「モォ~少しのガマン。必ず元気に復活します!」

イタリアン肉バル「デル・ソーレ道頓堀」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
イタリアン肉バル「デル・ソーレ道頓堀」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

大阪土産の専門店「なにわ名物いちびり庵」はクスッと笑わせてくれます。

「負けへんで! 復活したら いちびりまっせぇ~」

大阪土産の専門店「なにわ名物いちびり庵」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)
大阪土産の専門店「なにわ名物いちびり庵」の休業ポスター(撮影・松浦隆司)

「いちびり」は大阪弁で「お調子者」のことを意味します。「いちびり」の語源は、市場を取り仕切る人や行為を意味する「市振り」からきているそう。休業ポスターには再び、大阪・ミナミから大阪の元気を発信したいという思いが込められています。

ユーモアに富みながらも前を向くメッセージの数々には、どんな苦境にもヘコたれない、ナニワの商人(あきんど)の心意気が込められています。千房の小山さんは言います。「状況は本当に厳しいですが、『負けへんで 絶対ひっくり返したるっ』の精神で乗り切っていきたいと思います」。【松浦隆司】

(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)